日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01] 自然資源・環境の利用と管理:地球科学と社会科学の対話

2021年6月4日(金) 15:30 〜 17:00 Ch.16 (Zoom会場16)

コンビーナ:上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、古市 剛久(森林総合研究所)、佐々木 達(宮城教育大学)、座長:上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、佐々木 達(宮城教育大学)

15:45 〜 16:00

[HGG01-02] 経済発展と環境改善は両立可能か?―中国内モンゴル自治区における研究の経験から―

*佐々木 達1 (1.宮城教育大学)

キーワード:経済発展、環境改善、自然資源、中国・内モンゴル

改革開放以降,中国は経済成長を続けてきたことで世界第2位のGDPを誇る経済大国となった。周知のとおり,経済成長は財やサービスの生産と消費を拡大させる一方で,天然資源の需要が急増することによって,大気汚染や温室効果ガスを増大させる。加えて,砂漠化に代表されるように環境そのものを破壊する過程でもある。
 経済発展と環境破壊との間にはトレードオフの関係性があるという指摘もあるのに対して,経済学では「環境クズネッツ曲線」の議論によって反論にさらされてきた。近年では,気候変動との関わりでグリーンニューディールや技術楽観論によって経済発展と環境改善は両立するという議論も登場しつつあるが,「経済成長の罠」に陥っているという批判もなされている。
 本研究では,内モンゴル自治区の砂漠化メカニズムに関する事例研究を一つのストーリーとして再構成する。そのうえで,内モンゴルにおける経済発展と環境改善はトレードオフの関係性にあるかどうかを検討したい。そして,現在の中国の環境政策が,グローバル規模での環境汚染の空間的移転に過ぎないことを主張したい。