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[HGM03-10] 放射性炭素年代と高解像度DEMから推定された谷頭部周辺の埋積速度の分布 ―広島県広島市の花崗岩地域の事例―
キーワード:谷頭部、表層崩壊、放射性炭素年代測定、1-m DEM、花崗岩
本研究では,斜面崩壊後の谷頭部における再埋積速度を推定し,集水面積や谷内部の地形量に着目して詳細な分析を行った.対象地域は2014年8月20日の豪雨により,多数の表層崩壊が発生した広島県広島市の花崗岩地域である.斜面崩壊が発生した谷頭部の堆積物中に含まれる炭質物の放射性炭素年代を測定した.本研究では5つの谷頭部に注目して,22試料の炭質物を採取した.さらに,斜面崩壊発生前後の1 m DEMを用いて採取地点の傾斜,集水面積,地表粗度,崩壊前の試料の深度などを測定した.炭素年代は約350~1600 cal BPの範囲にあり,谷ごとにばらつきがあった.この結果は,かつての崩壊発生時期が谷によって異なることを示唆する.炭素年代と崩壊前の試料の深度から推定されたかつての谷頭部の埋積速度は0.0〜3.5 mm/yrであった.谷頭部の中間部から下流部にかけての集水面積が大きい地点では埋積速度が大きくなる傾向があった.また,埋積速度と地表粒径の間にも正の相関があった.集水域内に崖が多く凹凸が多い地点では,埋積速度が大きくなる傾向があった.さらに,75〜100 mm/hの降雨によって崩壊地内に地表流が発生する条件を想定し,移動限界粒径を計算した.その結果,谷頭部の中間部から下流部にかけての各地点において地表流により移動しうる岩屑の最大粒径は10 cm以下であった.これらの結果は,人為的な影響が大きい地点を除くと,谷頭部の下流ほど巨礫が集積しやすく,供給された巨礫は地表流によって運搬されないことから,埋積が速く進むことを示唆している.