17:15 〜 18:30
[HQR04-P05] 秩父盆地における河成段丘構成層中の花崗閃緑岩礫を用いたOSL年代測定
キーワード:OSL年代測定、礫表面年代測定、河成段丘、更新世
日本列島の河川の中流域には氷期に形成された堆積性の河成段丘が分布しており,その発達過程は火山灰編年をツールとして,多くの既存研究において明らかにされてきた.しかし,段丘面を被覆する地層の一部が侵食によって失われている場合には,段丘化年代を実際よりも若く見積もってしまう可能性がある,また逆に,河成段丘上のテフラ層は段丘化の最小年代を示しており,必ずしも段丘化したタイミングを正確に捉えていない可能性がある,などといった問題点が挙げられる.これらの問題は,河成段丘の発達過程を理解する上だけでなく,内陸部の地殻変動量を推定する上でも重要な検討課題である.OSL(Optically stimulated luminescence: 光ルミネッセンス)年代測定を用いて河成段丘を構成する堆積物(河成段丘構成層)の堆積年代を直接求めることによって,河成段丘面の形成年代をより高精度に求めることが可能になると期待される.そのためには,河成段丘構成層から得られたOSL年代と火山灰層による編年のクロスチェックをおこない,河成段丘の発達過程復元におけるOSL年代測定の有効性を検証する必要がある.
OSL年代測定では一般的に砂もしくはシルトを対象とするが,海外では近年,礫を対象とした試みが少しずつ蓄積されている.日本列島の河川中流域に形成された河成段丘構成層は礫を主体としており,OSL年代測定に適した砂層を見つけることが難しい場合があることに加え,河川システムでは砂よりも礫の方が運搬にかかる時間が長く,ルミネッセンス信号が十分にリセットされているために望ましい可能性がある.本研究では,秩父盆地において最終氷期極相期頃に段丘化した河成段丘面の構成層最上部から得られた花崗閃緑岩礫を用い,OSL年代測定を試みた.
露頭において花崗閃緑岩の大礫を3個採取し,アルミホイルに包んで暗室へ持ち込み処理をおこなった.直径約10 mm,長さ20–30 mmのコアを一つの礫に対して3つ切り出し,精密切断機を用いてコア状試料を層厚1.2 mmもしくは0.65 mmにスライスした.Risø TL/OSL DA-20を用いてpost-IR IRSL50/225測定をおこなった.また,同じ露頭においてシルト質砂層から試料を採取し,180–250 μmのカリ長石のpost-IR IRSL50/225測定および4–11 μmの石英のOSL測定をおこなった.
石英のOSL年代は約9.4 kaであり,段丘被覆層最下部から見いだされているUGテフラの降下年代(16–15 ka)と比べて5 kaほど若い.石英のOSL信号の減衰曲線はmedium componentが大きく寄与していることを示唆しており,信号の熱安定性が低いために年代を若く見積もったと推測される.一方,カリ長石のIR50年代は約46 kaであり,堆積前にIRS秩父盆地における河成段丘構成層中の花崗閃緑岩礫を用いたOSL年代測定L信号が十分にリセットされなかったと考えられる.花崗閃緑岩礫のIR50年代は19–17 kaであり,テフラの年代と整合的である.post-IR IRSL50/225の年代は125–34 kaと礫によって大きく異なる.本発表では年間線量の計算方法,fading correctionの手法などの年代計算に関する部分を詳細に紹介・議論する.
OSL年代測定では一般的に砂もしくはシルトを対象とするが,海外では近年,礫を対象とした試みが少しずつ蓄積されている.日本列島の河川中流域に形成された河成段丘構成層は礫を主体としており,OSL年代測定に適した砂層を見つけることが難しい場合があることに加え,河川システムでは砂よりも礫の方が運搬にかかる時間が長く,ルミネッセンス信号が十分にリセットされているために望ましい可能性がある.本研究では,秩父盆地において最終氷期極相期頃に段丘化した河成段丘面の構成層最上部から得られた花崗閃緑岩礫を用い,OSL年代測定を試みた.
露頭において花崗閃緑岩の大礫を3個採取し,アルミホイルに包んで暗室へ持ち込み処理をおこなった.直径約10 mm,長さ20–30 mmのコアを一つの礫に対して3つ切り出し,精密切断機を用いてコア状試料を層厚1.2 mmもしくは0.65 mmにスライスした.Risø TL/OSL DA-20を用いてpost-IR IRSL50/225測定をおこなった.また,同じ露頭においてシルト質砂層から試料を採取し,180–250 μmのカリ長石のpost-IR IRSL50/225測定および4–11 μmの石英のOSL測定をおこなった.
石英のOSL年代は約9.4 kaであり,段丘被覆層最下部から見いだされているUGテフラの降下年代(16–15 ka)と比べて5 kaほど若い.石英のOSL信号の減衰曲線はmedium componentが大きく寄与していることを示唆しており,信号の熱安定性が低いために年代を若く見積もったと推測される.一方,カリ長石のIR50年代は約46 kaであり,堆積前にIRS秩父盆地における河成段丘構成層中の花崗閃緑岩礫を用いたOSL年代測定L信号が十分にリセットされなかったと考えられる.花崗閃緑岩礫のIR50年代は19–17 kaであり,テフラの年代と整合的である.post-IR IRSL50/225の年代は125–34 kaと礫によって大きく異なる.本発表では年間線量の計算方法,fading correctionの手法などの年代計算に関する部分を詳細に紹介・議論する.