日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT16] 環境トレーサビリティ手法の開発と適用

2021年6月3日(木) 09:00 〜 10:30 Ch.16 (Zoom会場16)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、SHIN Ki-Cheol(総合地球環境学研究所)、竹内 望(千葉大学)、座長:竹内 望(千葉大学)

09:30 〜 09:45

[HTT16-03] 化学成分と気象水文のデータを用いた流域圏の積雪特徴の同定

*川越 清樹1、藪崎 志穂2 (1.福島大学共生システム理工学類、2.総合地球環境学研究所)

キーワード:短時間スケール、安定同位体比分析、地域水循環

気候変動に伴う水環境の変化が指摘されており,水循環の量と質の将来像を誘導するためのデータ開発が取り組まれている.こうした取り組みの一環で,多積雪地域である阿賀野川流域を対象に降雪と積雪の化学成分を分析してきた.阿賀野川は積雪資源に依存して,発電などの水資源を担っている.また,複数の国立公園を分布し,自然環境に付随したエコツーリズムが形成されている.そのため,気候変動の与える水環境へのインパクトは大きい流域と位置付けられる.2014年から継続して実施してきた降雪と積雪の化学成分の変化より,流域の上流部,北東,南東部に位置する裏磐梯地域と田島地域では稀に日本海由来以外の積雪が認められた.田島地域は概ね太平洋由来の積雪であることが示唆された.一方,裏磐梯地域は日本海,太平洋の双方に由来しない積雪であることも示唆される結果を得た.これら化学特性の結果を検証するために気象水文データとの関係性を比較した.結果として,年単位よりも短時間スケールに依存した気象が関連している傾向が認められた.この特性に関しての報告を行う.