日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT17] 浅部物理探査が目指す新しい展開

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.08

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、青池 邦夫(応用地質株式会社)、横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、高橋 亨(公益財団法人深田地質研究所)

17:15 〜 18:30

[HTT17-P03] 地中レーダによる舗装道路表基層の層厚分布の測定

*尾西 恭亮1、小林 貴幸1 (1.国立研究開発法人土木研究所)

キーワード:地中レーダ、舗装、アスコン層

舗装道路の状態管理において、舗装道路の構造把握が必要となる場合がある。そこで、舗装道路の表基層の層厚の分布を、地中レーダを用いることにより、1cm前後の精度で測定できることを紹介する。測定試験には、GSSI社製のストラクチャスキャンと、EarthRadar社製のミニポッドを主に用いた。中心周波数は、それぞれ、およそ2.7GHzと800MHzである。ストラクチャスキャンはコンクリートの鉄筋調査用の調査装置で、高い垂直分解能により、高い精度で構造境界の起伏分布を把握することができる。一方、ミニポッドは12個のアンテナを備えたマルチチャンネルレーダであり、短時間で広範囲の測定が行える。

 測定試験は、土木研究所内の試験舗装路において実施した。極浅部の反射応答位置の測定精度向上のため、コア採取による検証深度に合わせて電磁波の伝播速度の決定を行い、これに基づきゼロオフセット処理を含む一連の記録処理を実施した。アスコン層の伝播速度は0.135m/nsとした。速度決定に用いていないコア採取位置の表基層厚分布と高く整合した深度分布が得られた。

 アスコン層は表層と基層の2層に分かれており、一部の領域では、表層と基層の境界深度の分布も測定することができた。重機により作製される路盤の上面にはある程度の起伏が残存する。これに対し、アスコン層の基層上面は高い平坦性を持つ。したがって、基層の層厚は場所によるばらつきが大きくなる。地中レーダで比較的簡単に基層の層厚分布が測定できると、舗装の耐久性や健全性の評価に有益な情報をもたらす。