09:30 〜 09:45
[HTT19-03] 建物の高さの代理変数としての夜間光データの提案
キーワード:夜間光、建物の高さ、Suomi NPP衛星
本研究では夜間光が建物の高さのプロキシとなりうるかを検証する。
建物の高さは災害時の都市の被害状況や都市設計の上で非常に重要な数値である。しかし、建物の高さのデータはオープンストリートではランドマークのような高層ビルのみしか取得できず、全国の低層ビルも含めた高さデータを取得するにはデータの購入が必要となる。また時系列でデータを取得することが難しい点も大きなデメリットである。建物の高さのデータは時系列で確認して、都市や街の経年変化を行って初めて、様々な研究に有益な検証を行うことが出来る。
本研究では、近年無料で時間スケールが細かく公開されている夜間光データを用いて、コストの大きい建物の高さの推測は出来ないかを検証した研究である。
これまでNight Time Light Data を用いて GDP の推測を行う研究は活発に行われている。特に統計デー タの信頼性が低い途上国、そもそも調査が行われていない農村貧困地域が研究対象地域では非常に大きな成果を挙げている。
一方で、都市部において の衛星画像を用いた経済予測は、衛星画像の空間解像度の粗さや複雑な都市構造が原因となり、あまり活発に行われていない。 また夜間光の GDP の推測の精度の検証に、各国の発表に基づくデータを用いて検証する必要があるため、途上国ではその信頼度の低さから、精度検証の困難さを様々な論文で課題に挙げられてきた。このように夜間光をGDPの推測へ使用する場合、地域を選ぶ傾向が強い。
本研究では夜間光の新しい使用法として、建物の高さのプロキシとなるかを検証する。
これは建物の階層が多ければ、その分単位面積あたりの光量は増えることを利用したものである。この法則は普遍的であるため、もし夜間光と建物の高さの相関を発見することが出来た場合、世界中の建物の高さを夜間光に置き換えることが可能となる。
本研究では2020年1月10日に兵庫県が全国で初めて公開した分解能1mの3次元データセットと2011年より運用されているNOAAとNASAの共同管理のSuomi NPP衛星の夜間光データを用いて相関分析を行った。航空レーザー測量成果のうち、地表面と建物、植生等を含む数値表層である兵庫県全域のDigital Surface Modelから建物、植生等を除去した地表面の数値標高モデルであるDigital Elevation Modelの差によって求めた地表より上の建物、植生の高さのデータである。観測時期は2012年~2013年である。またDigital Surface Model、Digital Elevation Modeそれぞれに欠損値はなかった。夜間光は兵庫県の観測時期が2012年~2013年であったことから、2014年の年次データを使用した。空間分解能は約450メートルで、夜間光の外れ値を除外し、非ライト部分をゼロに設定した。
建物を植生と分類するため、国土地理院の基盤地図情報より建物の外周データを取得し、建物の高さのみのデータを抽出した。夜間光をレイヤーで重ね、450m四方の中で建物が70%以上となっているピクセルを選択し、そのピクセル内の建物の高さ平均と夜間光の光度の相関をとった。x軸にはpixelに対して、各月の観測数で重み付け平均した夜間光の値、y軸にはpixel内の建物の平均の高さをとった。
相関分析の結果、データ数は1028、決定係数は0.392であった。P値は有意水準の0.05を大きく下回ることから帰無仮説は棄却された。このように夜間光は建物の高さと一定の相関があることがわかった。これは、Pixel内に建物が70%以上と荒さのあるデータを使用しているにしては、相関があると評価できるものと考える。Pixel内に建物が50%以上、60%以上、80%以上、90%以上も計算を行ったが、70%以上が最も精度の高い結果となった。今後は他の地域や国でも検証を行い、夜間光と建物の高さの相関に地域差が存在しないかも調査して行きたい。
建物の高さは災害時の都市の被害状況や都市設計の上で非常に重要な数値である。しかし、建物の高さのデータはオープンストリートではランドマークのような高層ビルのみしか取得できず、全国の低層ビルも含めた高さデータを取得するにはデータの購入が必要となる。また時系列でデータを取得することが難しい点も大きなデメリットである。建物の高さのデータは時系列で確認して、都市や街の経年変化を行って初めて、様々な研究に有益な検証を行うことが出来る。
本研究では、近年無料で時間スケールが細かく公開されている夜間光データを用いて、コストの大きい建物の高さの推測は出来ないかを検証した研究である。
これまでNight Time Light Data を用いて GDP の推測を行う研究は活発に行われている。特に統計デー タの信頼性が低い途上国、そもそも調査が行われていない農村貧困地域が研究対象地域では非常に大きな成果を挙げている。
一方で、都市部において の衛星画像を用いた経済予測は、衛星画像の空間解像度の粗さや複雑な都市構造が原因となり、あまり活発に行われていない。 また夜間光の GDP の推測の精度の検証に、各国の発表に基づくデータを用いて検証する必要があるため、途上国ではその信頼度の低さから、精度検証の困難さを様々な論文で課題に挙げられてきた。このように夜間光をGDPの推測へ使用する場合、地域を選ぶ傾向が強い。
本研究では夜間光の新しい使用法として、建物の高さのプロキシとなるかを検証する。
これは建物の階層が多ければ、その分単位面積あたりの光量は増えることを利用したものである。この法則は普遍的であるため、もし夜間光と建物の高さの相関を発見することが出来た場合、世界中の建物の高さを夜間光に置き換えることが可能となる。
本研究では2020年1月10日に兵庫県が全国で初めて公開した分解能1mの3次元データセットと2011年より運用されているNOAAとNASAの共同管理のSuomi NPP衛星の夜間光データを用いて相関分析を行った。航空レーザー測量成果のうち、地表面と建物、植生等を含む数値表層である兵庫県全域のDigital Surface Modelから建物、植生等を除去した地表面の数値標高モデルであるDigital Elevation Modelの差によって求めた地表より上の建物、植生の高さのデータである。観測時期は2012年~2013年である。またDigital Surface Model、Digital Elevation Modeそれぞれに欠損値はなかった。夜間光は兵庫県の観測時期が2012年~2013年であったことから、2014年の年次データを使用した。空間分解能は約450メートルで、夜間光の外れ値を除外し、非ライト部分をゼロに設定した。
建物を植生と分類するため、国土地理院の基盤地図情報より建物の外周データを取得し、建物の高さのみのデータを抽出した。夜間光をレイヤーで重ね、450m四方の中で建物が70%以上となっているピクセルを選択し、そのピクセル内の建物の高さ平均と夜間光の光度の相関をとった。x軸にはpixelに対して、各月の観測数で重み付け平均した夜間光の値、y軸にはpixel内の建物の平均の高さをとった。
相関分析の結果、データ数は1028、決定係数は0.392であった。P値は有意水準の0.05を大きく下回ることから帰無仮説は棄却された。このように夜間光は建物の高さと一定の相関があることがわかった。これは、Pixel内に建物が70%以上と荒さのあるデータを使用しているにしては、相関があると評価できるものと考える。Pixel内に建物が50%以上、60%以上、80%以上、90%以上も計算を行ったが、70%以上が最も精度の高い結果となった。今後は他の地域や国でも検証を行い、夜間光と建物の高さの相関に地域差が存在しないかも調査して行きたい。