日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT19] 地理情報システムと地図・空間表現

2021年6月6日(日) 10:45 〜 12:15 Ch.14 (Zoom会場14)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、中村 和彦(東京大学)

10:45 〜 11:00

[HTT19-07] 道路の舗装工事跡とまちなみイメージ

*田中 一成1、小川 実玖1、月岡 瞳1 (1.大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)

キーワード:アスファルト、路面、シティスケープ、道路

一般的に都市内では,様々な構想と計画・設計にもとづいて,異なるプロジェクトとして施工が個別に実施されている。そのため,完成した街並みは,一定の街区や特定の建築物は優れたものであっても,全体として魅力が打ち消されることがある。これまで,魅力ある街づくりは,街区や建築物を対象に考えられてきた。例えば,統一感のある建築物や電線の地中化,および並木などの緑地整備である。しかし,施工の際に剥がされ埋められてきた道路アスファルトの路面には,大きな注意が向けられてこなかった。この研究では,このアスファルトの状態と,街のイメージとの関係を探ることを目的とする。

本研究では,一般的なアスファルトの舗装工事跡に着目する。このテクスチャーの違いが際立つ継ぎ目の状態,工事跡の大きさ,色合いの差異を対象に,人々が気づかないうちに抱くイメージを抽出する。また,周辺の建物間口との整合性についても心理実験を行い,我々が日常知らず知らずのうちに抱いているイメージを抽出する。

本研究では,違和感を感じるアスファルト舗装の継ぎ目の状態の把握,路面の微妙な色彩の差異による調和感の抽出,さらに建築物と舗装跡の関係をみるための3つの実験を行った。

テクスチャーの異なる二つのアスファルト舗装を並べて実験を行うことで,違和感を感じない範囲を抽出した。7つのサンプルについて180被験者を対象に実験を行った結果,骨材粒径の差異が25%以内,および細かい粒径の場合に違和感を感じないことがわかった。

次に色彩の組み合わせについて,実際の舗装から抽出した30色を用いた実験を180人の被験者を対象に行った。この結果,明確な結果は得られていないが概ね対比色以外の場合に自然に感じることが明らかとなった。
最後に建築物の間口とアスファルト舗装跡の大きさの関係について,一対比較法による心理実験を行った。これまでの実験結果を参考に好まれる舗装を用いて,大きさと間口との整合性に対する心理量を比較した。その結果,工事跡の大きさ,間口との整合性が,よい街並みの印象に影響を与えていることが明らかとなった。