17:15 〜 18:30
[MAG38-P03] 都市域のため池における除染後の137Cs動態
キーワード:福島第一原子力発電所事故、Cs-137、ため池、除染
福島県には農業用ため池が4,000以上存在し,福島第一原子力発電所事故から放出された放射性セシウムにより汚染された。汚染されたため池の問題点として,水位低下時のため池周辺の空間線量率の上昇,営農再開および農業復興の妨げなどが挙げられる。これらの問題を解決するために,底質の放射性Cs(134Cs+137Cs)濃度が8,000 Bq/kgDW(5 cm間隔)以上を基準として,ため池の除染が開始された。本研究は,2017年度に除染が行われた都市域にあるため池において,採水および採泥を行い,除染の効果および除染後の137Cs動態を調査することを目的とした。
福島県郡山市の市街地に位置する酒蓋池にて調査を行った。2017年度に除染が行われた。底質は,2015年,2018-2020年に採集した。基本的には,生簀周辺の2地点,年に1回,池全体の5地点にて採集した。0-20 cm深は1 cm間隔,20-30 cm深は2 cm間隔,30 cm深-は5 cm間隔に切り分けた。池水は,2015年,2018-2020年に採集した。流入および流出水は,2020年に採集した。底質,池水および流入,流出水の懸濁物質,溶存態の137Csをゲルマニウム半導体検出器にて測定した。
底質表層および池水の137Cs濃度を除染前後で比較する。生簀周辺の2地点における底質表層の137Cs濃度は,36,100,25,500 Bq/kgDWから15,800,15,300 Bq/kgDWまで低下していた。池水の137Cs濃度は,1.40 Bq/Lから0.950 Bq/Lまで低下していた。底質表層および池水の137Cs濃度が大幅に低下していたことから,除染の効果はあったと言える。しかし,底質表層の137Cs濃度が除染後でも放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当以上であった。池全体の5地点における底質表層の137Cs濃度が,2015年は16,700-44,300 Bq/kgDW,2018年は3,630-12,200 Bq/kgDW,2019年は6,800-13,500 Bq/kgDWであった。2018年と2019年を比較すると,底質表層における放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以上の層が厚くなっていた。2019年にコアを採集した約1ヶ月前に令和元年東日本台風が通過したため,台風により大量の土砂が流入したことが要因だと考えられる。底質表層の137Cs濃度が放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以下の地点と以上の地点の堆積環境を比較した。放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以下の地点は,除染後新たな粒子が堆積した可能性が低かったのに対して,放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以上の地点は,除染後新たな粒子が堆積した可能性があった。除染後の池水の懸濁物質の137Cs濃度も,底質と同じく放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当以上であった。また,流入水の懸濁物質の137Cs濃度も放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当を超える時があった。以上のことから,洪水時に大量の土砂が流入し,ため池に堆積することで,底質の137Cs濃度が高濃度になってしまうことが考えられた。
福島県郡山市の市街地に位置する酒蓋池にて調査を行った。2017年度に除染が行われた。底質は,2015年,2018-2020年に採集した。基本的には,生簀周辺の2地点,年に1回,池全体の5地点にて採集した。0-20 cm深は1 cm間隔,20-30 cm深は2 cm間隔,30 cm深-は5 cm間隔に切り分けた。池水は,2015年,2018-2020年に採集した。流入および流出水は,2020年に採集した。底質,池水および流入,流出水の懸濁物質,溶存態の137Csをゲルマニウム半導体検出器にて測定した。
底質表層および池水の137Cs濃度を除染前後で比較する。生簀周辺の2地点における底質表層の137Cs濃度は,36,100,25,500 Bq/kgDWから15,800,15,300 Bq/kgDWまで低下していた。池水の137Cs濃度は,1.40 Bq/Lから0.950 Bq/Lまで低下していた。底質表層および池水の137Cs濃度が大幅に低下していたことから,除染の効果はあったと言える。しかし,底質表層の137Cs濃度が除染後でも放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当以上であった。池全体の5地点における底質表層の137Cs濃度が,2015年は16,700-44,300 Bq/kgDW,2018年は3,630-12,200 Bq/kgDW,2019年は6,800-13,500 Bq/kgDWであった。2018年と2019年を比較すると,底質表層における放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以上の層が厚くなっていた。2019年にコアを採集した約1ヶ月前に令和元年東日本台風が通過したため,台風により大量の土砂が流入したことが要因だと考えられる。底質表層の137Cs濃度が放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以下の地点と以上の地点の堆積環境を比較した。放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以下の地点は,除染後新たな粒子が堆積した可能性が低かったのに対して,放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW以上の地点は,除染後新たな粒子が堆積した可能性があった。除染後の池水の懸濁物質の137Cs濃度も,底質と同じく放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当以上であった。また,流入水の懸濁物質の137Cs濃度も放射性セシウム濃度8,000 Bq/kgDW相当を超える時があった。以上のことから,洪水時に大量の土砂が流入し,ため池に堆積することで,底質の137Cs濃度が高濃度になってしまうことが考えられた。