日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI34] 情報地球惑星科学と大量データ処理情報

2021年6月3日(木) 10:45 〜 12:15 Ch.03 (Zoom会場03)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)、深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)、座長:野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)

10:45 〜 11:05

[MGI34-07] 大学共同利用・共同研究拠点、会津大学宇宙情報科学研究センターの取り組み

★招待講演

*出村 裕英1 (1.公立大学法人会津大学)

キーワード:アーカイブサイエンス、月惑星探査、データサイエンス

令和元年度に『月惑星探査アーカイブサイエンス拠点』として文部科学省から大学共同利用・共同研究拠点に認定された会津大学宇宙情報科学研究センター(ARC-Space)は、宇宙科学と情報科学を融合した宇宙情報科学分野の研究を産学連携により促進し、その成果を学術コミュニティに提供することでこの分野の研究の活性化と技術開発の進展に寄与している。月惑星探査データを用いたアーカイブサイエンスを促進することで太陽系科学を推進することを目的として設置された。

拠点の情報基盤やメンバーとの共同研究を通じて、開発ソフトウエアや作成データプロダクトの配信および ICT サービスを学術コミュニティに提供したり、探査データ解析実習会など解析ノウハウを共有する各種集会を開催したり、母体学協会である日本惑星科学会と密に連携した公募審議・選定委員会および拠点運営委員会が採否を決める公募型共同研究を行っている。この公募制度は研究試作から実用水準への引き上げまで段階を追った発掘育成を行うという特色があり、月惑星探査データの高付加価値化や、解析ツールの開発・整備、サービスの提供などを通じた月惑星探査アーカイブサイエンスを推進する課題が選ばれている。研究開発の前段階としての萌芽研究、産業界との連携等も含めた本格的な研究開発を行う実用研究、2 種類のカテゴリがある。令和元年度は萌芽8件と実用3件、令和2年度は萌芽6件と実用2件がそれぞれ採択された。

本拠点は、米国Planetary Data Systemの分野別拠点に倣って提案し、認定された。各国宇宙機関が有期のプロジェクトで月惑星探査を実施して初期成果とデータを公開し、学術コミュニティがそれらオープンデータを蓄積管理しつつ ICT技術と歩調を合わせてアップデートしていくという、世界の潮流に沿った取り組みである。着実な科学成果を挙げるために、データキュレーション(新たなデータプロダクトの整備やデータベースの構築)、可視化、機械学習など最新の ICT技術の重要性が増してきている。この月惑星探査アーカイブサイエンスは、月惑星探査のオープンデータを扱うデータサイエンスの一領域と位置づけられる。本セッションのテーマや参加者の興味と合致すると思われるので、その未来を一緒に議論させて頂ければ嬉しく思う。