日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS04] Evolution and variability of the Asian Monsoon and Indo-Pacific climate during the Cenozoic Era

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.26 (Zoom会場26)

コンビーナ:佐川 拓也(金沢大学理工研究域)、松崎 賢史(東京大学 大気海洋研究所)、座長:佐川 拓也(金沢大学理工研究域)、松崎 賢史(東京大学 大気海洋研究所)

10:15 〜 10:30

[MIS04-06] 長期的なモンスーン動態が新生代-中生代の気候と生態系に与える影響

*池田 昌之1、尾崎 和海2、LEGRAND Julien3 (1.東京大学、2.東邦大学、3.静岡大学)

キーワード:モンスーン

モンスーンはローカルな気候変化や水循環を駆動するのみならず、大陸風化を促進させることで新生代や中生代の寒冷化や温暖化に影響したことが指摘されている。モンスーンは日射に対する陸と海の比熱差によって生じるため,地球軌道要素の影響を線形的に受け氷期-間氷期サイクルやより長周期でも変化し、新生代や中生代の数100万年スケールの炭素循環にも影響した可能性がある。しかし、長期的なモンスーン記録の指標が乏しく、その実態は未解明の点が多い。

 ここではまず、三畳紀-ジュラ紀の湖水位、砂漠の分布、層状チャートの生物源シリカ埋没フラックス、大気中CO2レベル(pCO2)、海面水温(SST)の数100万年程度の変動を示した。これらの位相関係は、炭素循環モデルの結果と相まって、軌道変化で駆動された夏季モンスーンのダイナミクスが熱帯収束帯を移動させることで、陸域の風化効率を20%程度変調させ、最大500-1,000ppmvのpCO2と3-7℃の海面水温の変化に影響を与えたことを示唆しています。また、これらの気候変動は、水や食物資源の利用可能性の時空間的な変化や中低緯度地域の乾燥高温気候の障壁の消長を介して、陸域や海洋の生物群集変化、恐竜の足跡の大きさの変化、四足動物の分散と関連している可能性がある.

さらに、新生代においても、同様に長期的なモンスーンが地球環境や生態系に与えた影響について述べる。