日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS05] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.20

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、菅沼 悠介(国立極地研究所)

17:15 〜 18:30

[MIS05-P19] 南大洋インド洋区における珪質鞭毛藻フラックスと形態変動

*林 亮太1、岡崎 裕典2、松尾 晃嗣郎2、池上 隆仁3、板木 拓也4、池原 実5 (1.九州大学理学部地球惑星科学科、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、3.(公財) 海洋生物環境研究所、4.産業技術総合研究所、5.高知大学海洋コア総合研究センター)

キーワード:南大洋、珪質鞭毛藻、セジメントトラップ

本研究では、南大洋における珪質鞭毛藻フラックスの季節変動に着目した。南大洋インド洋区ECR-1地点に約1年間設置された時系列セジメントトラップを用いて珪質鞭毛藻フラックスの解析を行った結果、明瞭な季節変動と微細な骨格構造の変動が観測された。珪質鞭毛藻フラックスの中では、S. speculum が最多であり、その相対産出率は95.4%以上であった。南大洋における生物源シリカフラックスは大部分が珪藻によって構成されている。本試料では、珪質鞭毛藻フラックスと生物源シリカフラックスのパターンは概ね一致しており、夏に顕著なピークを示したが、そのタイミングは珪質鞭毛藻が生物源シリカに先行していた。S. speculum の骨格構造について詳細な観察を行った結果、夏には apical pike の多い S. speculum var. bispicata が最多となる一方、珪質鞭毛藻フラックスも生物源シリカフラックスも低いそのほかの季節では apical pike の無い S. speculum speculum が最多となることがわかった。 これは珪藻ブルームによって S. speculum の apical pike が減少したことを示唆している。夏の珪質鞭毛藻フラックスピークの先行は珪藻ブルームによる溶存珪酸の制限によるものであり、これによって S. speculum の骨格構造が微細に変化していると考えられる。