17:15 〜 18:30
[MIS11-P04] 琵琶湖流入河川における遡上魚による懸濁態有機物と懸濁物食性昆虫への影響
キーワード:遡上魚、懸濁態有機物、琵琶湖
遡上魚は海や湖から河川へと、生態系の境界を超えた物質・栄養塩輸送を行うことで、河川生態系の構造や機能に影響を与える。遡上魚による消費者への影響において、一次生産量だけでなく餌となり得る懸濁有機物の量や組成の変化も重要であると考えられるが、それらを詳細に捉えた研究はこれまで行われていなかった。そこで本研究では、琵琶湖流入河川における遡上魚による懸濁有機物およびそれを摂食する生物への影響を調査した。
調査は滋賀県高島市を流れる安曇川南流・北流で行った。この両河川では川全体に簀を張って下流からの遡上魚を捕獲するヤナ漁が行われるため、ヤナの上下での魚密度が大きく異なる。調査時にはコイ科魚類ハス(Opsariichthys uncirostris)の遡上時期で、ヤナ上下でのハス密度が大きく異なっていた。この両河川のヤナの上下3地点ずつで、底生藻類、懸濁物食者のトビケラ類、河川水中懸濁物(POM)を採取し、それぞれ炭素窒素同位体比(δ13C, δ15N)を測定した。また、底生藻類はクロロフィルa濃度を、POMは懸濁態有機炭素(POC)、有機窒素(PON)、全リン(TPP)、無機リン(PIP)濃度を測定した。
分析の結果、ヤナ下流で上流と比べてPOC, PON, TPP, PIP濃度がそれぞれ約2倍に、δ13C, δ15N値がそれぞれ約3‰上昇した。しかし、ヤナ上下でC/N比、C/P比、N/P比は全てヤナ上下で有意差は認められなかった。ヤナ上下でのそれらの値はいずれも遡上魚組織や陸源有機物よりも底生藻類に近い値であった。ヤナ下流では上流と比較して、底生藻類のクロロフィルa濃度の増加と δ15N値の上昇が見られた。さらにPOMを摂食する懸濁物食者である造網性トビケラ類のδ15N値もヤナ下流で高い値であった。これらの結果から、ヤナ下流では、おそらくハスによる栄養塩供給で増加した底生藻類が、ハスの撹乱行動によって巻きあげられていると考えられる。その巻き上げられた底生藻類が懸濁物として、藻類食者だけでなく懸濁物食者にも利用されている可能性が示された。
調査は滋賀県高島市を流れる安曇川南流・北流で行った。この両河川では川全体に簀を張って下流からの遡上魚を捕獲するヤナ漁が行われるため、ヤナの上下での魚密度が大きく異なる。調査時にはコイ科魚類ハス(Opsariichthys uncirostris)の遡上時期で、ヤナ上下でのハス密度が大きく異なっていた。この両河川のヤナの上下3地点ずつで、底生藻類、懸濁物食者のトビケラ類、河川水中懸濁物(POM)を採取し、それぞれ炭素窒素同位体比(δ13C, δ15N)を測定した。また、底生藻類はクロロフィルa濃度を、POMは懸濁態有機炭素(POC)、有機窒素(PON)、全リン(TPP)、無機リン(PIP)濃度を測定した。
分析の結果、ヤナ下流で上流と比べてPOC, PON, TPP, PIP濃度がそれぞれ約2倍に、δ13C, δ15N値がそれぞれ約3‰上昇した。しかし、ヤナ上下でC/N比、C/P比、N/P比は全てヤナ上下で有意差は認められなかった。ヤナ上下でのそれらの値はいずれも遡上魚組織や陸源有機物よりも底生藻類に近い値であった。ヤナ下流では上流と比較して、底生藻類のクロロフィルa濃度の増加と δ15N値の上昇が見られた。さらにPOMを摂食する懸濁物食者である造網性トビケラ類のδ15N値もヤナ下流で高い値であった。これらの結果から、ヤナ下流では、おそらくハスによる栄養塩供給で増加した底生藻類が、ハスの撹乱行動によって巻きあげられていると考えられる。その巻き上げられた底生藻類が懸濁物として、藻類食者だけでなく懸濁物食者にも利用されている可能性が示された。