日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 火山噴煙・積乱雲のモデリングと観測

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.25 (Zoom会場25)

コンビーナ:佐藤 英一(気象研究所)、前野 深(東京大学地震研究所)、前坂 剛(防災科学技術研究所)、座長:佐藤 英一(気象研究所)

09:00 〜 09:15

[MIS13-01] 降下火山灰粒子のレーダ気象学的研究

★招待講演

*真木 雅之1 (1.鹿児島大学地震火山地域防災センター)

キーワード:粒径分布、ディスドロメータ、偏波レーダパラメータ

本研究では,レーダ気象学的な観点から,降灰粒子を対象に,粒径分布,落下速度,形状などの基本的な特徴について述べる.その際,降水粒子の基本的な特徴と比較し,両者の共通点,相違点を明らかにすることは,気象レーダを降灰モニタリングに利用する上で有益である.このため,国土交通省が2DVDにより取得した雨滴粒子データの解析結果も紹介した.降灰粒子についてはMaki et al. (2021)の結果を参照した.当該論文では降灰粒子の粒径分布(PSD)の特徴を明らかにし,気象レーダによる定量的降灰量推定手法を開発するために,鹿児島県桜島火山の計6つの爆発的噴火の際にディスドロメータにより収集された降灰粒子のデータが解析された.観測された雨滴と火山灰粒子のPSDはガンマ分布 N(D)=N0Dμexp(-ΛD)で近似できることがわかった.ここで,N(D)は粒径分布,D は粒径, N0 は切片パラメータ,Λ は傾斜パラメータ,μ は形状パラメータである.降灰粒子のガンマPSDパラメータの間にははっきりとした相関関係が認められた.この事実は降灰粒子のPSDの一つの特徴であると考えられる.また,RA/NwDm の間の高い相関は,規格化切片パラメータ Nw と質量重み付き直径 Dm が降灰強度RAを推定する際に有効なパラメータであることを示唆している.更に,降灰強度 RA, 降灰密度 CA, 反射因子 Z,総個数 NT.などの積分PSDパラメータ間のべき乗関係式を求めた.本研究の成果は,火山灰雲の中の微物理過程の研究や降灰の輸送拡散モデルの初期値設定に必要な情報であり,気象レーダによる降灰量推定の基礎となる.