日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 火山噴煙・積乱雲のモデリングと観測

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.19

コンビーナ:佐藤 英一(気象研究所)、前野 深(東京大学地震研究所)、前坂 剛(防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[MIS13-P01] 火山灰の複素屈折率推定によるひまわり火山灰アルゴリズムの改良

★招待講演

*石元 裕史1、林 昌宏1、真野 裕三1、工藤 玲1 (1.気象研究所)

キーワード:火山灰、複素屈折率、気象衛星ひまわり

衛星による火山灰の監視では、昼夜の区別がない赤外チャンネルによる観測が有用である。火山灰を構成するケイ酸塩鉱物には波長10μm付近に特徴的な吸収帯が存在し、この吸収帯における2波長の輝度温度差から、火山灰を水・氷雲と区別して観測することができる。また近年のひまわり8号などによる赤外多波長観測では、数値モデルによる大気プロファイル情報と火山灰粒子の赤外光学特性を用いた放射シミュレーション結果から、火山灰雲の物理量(雲頂高度・粒子有効半径・光学的厚さ、およびそれらを組み合わせた火山灰カラム量)を推定することが可能となっている。火山灰の光学特性とその波長依存性は火山灰物質の吸収特性(複素屈折率)に強く依存するため、対象となる火山灰雲の物質に対応した複素屈折率モデルを用いて火山灰雲の物理量推定を行うことが重要となる。これまでの研究で、衛星赤外サウンダの火山灰雲観測で得られた赤外輝度温度スペクトルと、複数の火山灰複素屈折率モデル(Prata et al. 2019)を用いることで、ひまわり8号による火山灰推定に最適な複素屈折率モデルを推定できることがわかった。またひまわり等、多波長衛星イメージャ観測データから火山灰物理量推定を行う1DVAR解析アルゴリズム(OVAA)を開発した。赤外サウンダによる複素屈折率の推定と、その複素屈折率をもとに作成した火山灰光学特性を組み込んだOVAAによって、より高精度なひまわりによる火山灰解析が可能になると考えられる。