10:45 〜 11:00
[MIS14-01] 内部海をもつ氷衛星の内部加熱
キーワード:氷衛星、潮汐加熱
外側太陽系の天体表面温度は~100 Kと非常に低く、多くの固体天体がH2Oを主成分とする氷に覆われている。そのような低温環境にも関わらず、これら氷天体のうちいくつかは「水惑星」である;すなわち、内部海を持っていると思われる。内部海がどのようにして維持されているのかを理解することは、水惑星学における主要研究課題である。
内部海を今日まで維持している熱源としては、岩石に微量に含まれる放射性核種の壊変熱に加えて、巨大惑星の衛星では潮汐による加熱が重要であるとされてきた。近年、衛星の固体部分や液体部分での発熱率を求めるための理論的研究が進み、内部構造モデルや軌道要素を与えると、衛星での総発熱量だけでなく加熱量の空間分布も計算できるようになってきた。しかし、衛星の内部構造は不定性が大きく、潮汐による総発熱量や空間分布は未だよく理解されていない。
本研究では先行研究の理論モデルを用いて、木星系氷衛星エウロパや土星系氷衛星エンセラダス、海王星系氷衛星トリトンなどにおける内部発熱量とその空間分布を、幅広いパラメータ範囲で算出した。その結果、エウロパやエンセラダスは離心率タイプの、トリトンでは傾斜角タイプの加熱が卓越することや、前者は海が薄くなるほど、後者では逆に海が厚いほど総発熱率が高いことが確認できた。また、潮汐共鳴による発熱率の上昇はエンセラダスでは起こりにくいことが分かった。空間分布に関しては、固体潮汐の加熱分布はあまり内部構造に依存しないが、液体潮汐については海の厚さや摩擦係数に強く依存することが明らかとなった。この結果は、氷地殻の形状から内部の主要な加熱メカニズムや平均内部海厚などを制約できることを示唆している。
内部海を今日まで維持している熱源としては、岩石に微量に含まれる放射性核種の壊変熱に加えて、巨大惑星の衛星では潮汐による加熱が重要であるとされてきた。近年、衛星の固体部分や液体部分での発熱率を求めるための理論的研究が進み、内部構造モデルや軌道要素を与えると、衛星での総発熱量だけでなく加熱量の空間分布も計算できるようになってきた。しかし、衛星の内部構造は不定性が大きく、潮汐による総発熱量や空間分布は未だよく理解されていない。
本研究では先行研究の理論モデルを用いて、木星系氷衛星エウロパや土星系氷衛星エンセラダス、海王星系氷衛星トリトンなどにおける内部発熱量とその空間分布を、幅広いパラメータ範囲で算出した。その結果、エウロパやエンセラダスは離心率タイプの、トリトンでは傾斜角タイプの加熱が卓越することや、前者は海が薄くなるほど、後者では逆に海が厚いほど総発熱率が高いことが確認できた。また、潮汐共鳴による発熱率の上昇はエンセラダスでは起こりにくいことが分かった。空間分布に関しては、固体潮汐の加熱分布はあまり内部構造に依存しないが、液体潮汐については海の厚さや摩擦係数に強く依存することが明らかとなった。この結果は、氷地殻の形状から内部の主要な加熱メカニズムや平均内部海厚などを制約できることを示唆している。