日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 古気候・古海洋変動

2021年6月4日(金) 15:30 〜 17:00 Ch.26 (Zoom会場26)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院)、山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

15:52 〜 16:07

[MIS16-07] カスケード型トゥファの年縞認定と高解像度安定同位体記録

*村田 彬1、加藤 大和1、狩野 彰宏1 (1.東京大学)

キーワード:トゥファ、安定同位体分析、古気候、太平洋10年振動

石灰岩地帯の淡水環境で発達するトゥファは温帯〜亜熱帯陸域の古気候記録媒体として優れている。トゥファは年縞を発達させ数mm/年の速度で成長するため、高解像度での解析が可能である。ただし、河川環境で発達するトゥファは流路の変化により20〜30年を超えては連続的に堆積せず、長期的記録の復元には問題があった。これに対し、滝の下で発達するカスケードトゥファは石筍のようにより長い連続的記録を保持することが期待される。本研究では鹿児島県徳之島の小原海岸に発達するカスケードトゥファを用いて過去の気候条件の復元をこころみた。
 小原海岸の2地点で採集したカスケードトゥファ試料は49 cmと18 cmの厚さである。薄片およびX線CTスキャンの観察により構築した年代モデルによると、2つの試料とも過去約200年間に成長したことがわかった。気候条件復元のため、2つの試料から0.2 mmもしくは0.4 mmの解像度でそれぞれ合計1430個, 892個の粉末試料を作成し、酸素・炭素同位体比を分析した。酸素同位体比は2試料に共通した10年スケールの変動を示すが、近年の地球温暖化を反映するようなトレンドは認識されない。酸素同位体比は1970年代後半までは約25年間の周期でノコギリ型に変動し、その後は増加する傾向を示す。この変化の傾向は太平洋10年振動(PDO)と似ており、正の相関を示す。トゥファの酸素同位体比は気温ではなく、降水の酸素同位体比とより強く相関すると考えられる。今後は降水の酸素同位体比を測定することにより、PDOとの相関関係について議論を進めていく予定である。また、炭素同位体比は1つの試料において1960年代から減少する傾向を示し、化石燃料の消費によるSuess効果を記録しているものと思われる。