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[MIS16-P06] 珪藻および黄金色藻遺骸を用いたフィンランド中部年縞湖沼Kortta湖におけるAD1250年以降の環境・洪水変動史の復元
キーワード:年縞堆積物、フィンランド、気候変動、洪水堆積物、珪藻、黄金色藻休眠胞子
Kortta湖はフィンランド中部に位置し、長さ約1km, 最大幅400mの小規模な淡水湖沼である。過去3000年以上にわたり連続的に年縞が形成されてきた。その平均堆積速度は、最近50年が年4mm、それ以前は年0.8-1.0mmとなる。本研究では2010年に掘削されたコア長80cm、堆積年代としてAD1250年以降の試料の分析を行った。
Kortta湖における年縞形成には融雪氷期の洪水が大きく関わっており、白色の砂質堆積相が形成される。これ以外の時期には、暗色の泥質の堆積相となる。年縞中には、特に顕著な白色洪水層が挟在しており、それらは下位からAD1260, AD1460, AD1780, AD1914-1918, AD1967, AD1986に対比された。このうち、AD1260, AD1460, AD1780については、ヨーロッパにおいて冬季において特に寒冷な気候となった歴史記録と一致する。AD1967, AD1986は気象観測記録から冬季の気温低下が生じている。AD1914-1918は第一次大戦における森林伐採時期と一致する。
珪藻群集は、Aulacoseira ambigua, A. valida, Stauroneis spp.などが優占し、淡水湖沼環境が継続していたことを示している。これらに加えて泥炭地に生息するEunotia spp., Pinnuralia spp.も多く産出しており、融雪氷期における湖沼周辺低地からの流入が示唆された。黄金色藻休眠胞子は、AD1260, AD1460, AD1780, AD1986など寒冷な洪水堆積期に急増している。さらにAD1780-1910前後、小氷期においても増加することがわかった。黄金色藻休眠胞子は藻類の成長に不適切な環境下で形成されるが、過去750年間の気候変動を示していることがわかった。
Kortta湖における年縞形成には融雪氷期の洪水が大きく関わっており、白色の砂質堆積相が形成される。これ以外の時期には、暗色の泥質の堆積相となる。年縞中には、特に顕著な白色洪水層が挟在しており、それらは下位からAD1260, AD1460, AD1780, AD1914-1918, AD1967, AD1986に対比された。このうち、AD1260, AD1460, AD1780については、ヨーロッパにおいて冬季において特に寒冷な気候となった歴史記録と一致する。AD1967, AD1986は気象観測記録から冬季の気温低下が生じている。AD1914-1918は第一次大戦における森林伐採時期と一致する。
珪藻群集は、Aulacoseira ambigua, A. valida, Stauroneis spp.などが優占し、淡水湖沼環境が継続していたことを示している。これらに加えて泥炭地に生息するEunotia spp., Pinnuralia spp.も多く産出しており、融雪氷期における湖沼周辺低地からの流入が示唆された。黄金色藻休眠胞子は、AD1260, AD1460, AD1780, AD1986など寒冷な洪水堆積期に急増している。さらにAD1780-1910前後、小氷期においても増加することがわかった。黄金色藻休眠胞子は藻類の成長に不適切な環境下で形成されるが、過去750年間の気候変動を示していることがわかった。