日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 古気候・古海洋変動

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.23

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院)、山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

17:15 〜 18:30

[MIS16-P08] 堆積物DNAは、十年から百年スケールの魚のバイオマス変動を捉えられるか?

*加 三千宣1、玉井 大道1、土居 秀幸2、坂田 雅之3、源 利文3、鈴木 克明4 (1.愛媛大学沿岸環境科学研究センター、2.兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科、3.神戸大学大学院人間発達環境学研究科、4.産業技術総合研究所)

キーワード:堆積物DNA、魚のアバンダンス、別府湾

地球上の脊椎動物など大型生物の個体群の動態の解明は、種の進化や絶滅、気候変動や人為撹乱に対する応答に対する理解、生物種の保全策にとって不可欠である。これまで生物学的モニタリングによってその個体数について明らかにされてきた。しかし、そうしたモニタリングデータは長いものでも100年前まで遡れる程度で、モニタリング以前の過去数百年、数千年という時間スケールの記録はない。一方、そうした長い時間スケールの個体数変動を記録している堆積物記録は、そのほとんどは湖や海の魚記録で、海では過去1000年を超える個体数変動記録は7分類群のみである。また、これらの記録が得られる水域もごく限られる。すなわち、地球上のほとんどのマクロ生物の個体群の長期動態は、いまだ謎に包まれているのが現状である。本研究では、過去の魚の動態解明に今後期待が寄せられる堆積物中の環境DNAに着目し、日本列島周辺の有用浮魚類を対象に堆積物中にDNAが存在するかどうか、魚の個体数変動を推定する方法としての堆積物DNA技術の有用性について検討した。本発表では、別府湾堆積物について検討した結果について報告する。

文献
Kuwae, M., Tamai, H., Doi, H., Sakata, M.K., Minamoto, T., and Suzuki, Y. (2020) Sedimentary DNA tracks decadal-centennial changes in fish species abundance. Communications Biology, 3, 558, https://doi.org/10.1038/s42003-020-01282-9