17:15 〜 18:30
[MIS16-P14] 最終融氷期におけるパプアニューギニア降水量変動
キーワード:熱帯収束帯、ビスマルク海、最終融氷期
最終氷期末の千年規模変動は大西洋子午面循環(AMOC)の変動により引き起こされたと考えられている。この最終氷期末の千年規模気候変動は世界各地で確認されているが、AMOCの変動がどのようなメカニズムで伝搬されるのか明確ではない。ひとつの有力な仮説として、AMOCの変動により南北両半球の熱バランスが変化し、熱帯収束帯(ITCZ)平均位置を変化させ、世界各地の気温と降水量が変化するという考えがある。確かに、大西洋および東部太平洋では、AMOCが弱化した時、ITCZが南下したという報告がある。しかし、大西洋から離れた地域では明確な証拠は得られていない。
本研究では、この仮説を検証するため、パプアニューギニア沖のビスマルク海のIODP U1485地点の海底堆積物を分析することにより、過去2.5万年間の降水量変動を推定し、西部太平洋におけるITCZの変動を復元した。パプアニューギニア(PNG)はITCZが南下した際に、北西モンスーンによる山岳性降雨が増加し、降水量が確実に増加する。PNGからセピック川およびラミュ川から排出された砕屑物はU1485地点まで運搬されるので、U1485地点はITCZ変動をとらえるのに適した地点である。
河川流量を反映するCBTとBITはベーリングアレレード(BA)期で高く、ヤンガードリアス(YD)期で低かった。大気対流活動(降水量)を反映する長鎖脂肪酸の水素安定同位体比(δD)はBA期で低く、YD期で高かった。これらの結果は、PNGではBA期で降水量が高く、YD期では低かったことを示している。これは、上記の仮説で予想される結果とは逆の結果であり、太平洋西部では、AMOCの弱化はITCZの南下を引き起こさなかったことを示唆した。
本研究では、この仮説を検証するため、パプアニューギニア沖のビスマルク海のIODP U1485地点の海底堆積物を分析することにより、過去2.5万年間の降水量変動を推定し、西部太平洋におけるITCZの変動を復元した。パプアニューギニア(PNG)はITCZが南下した際に、北西モンスーンによる山岳性降雨が増加し、降水量が確実に増加する。PNGからセピック川およびラミュ川から排出された砕屑物はU1485地点まで運搬されるので、U1485地点はITCZ変動をとらえるのに適した地点である。
河川流量を反映するCBTとBITはベーリングアレレード(BA)期で高く、ヤンガードリアス(YD)期で低かった。大気対流活動(降水量)を反映する長鎖脂肪酸の水素安定同位体比(δD)はBA期で低く、YD期で高かった。これらの結果は、PNGではBA期で降水量が高く、YD期では低かったことを示している。これは、上記の仮説で予想される結果とは逆の結果であり、太平洋西部では、AMOCの弱化はITCZの南下を引き起こさなかったことを示唆した。