14:30 〜 14:45
[MIS18-10] ニュージーランド北島沖ヒクランギ海溝における小断層の発熱履歴:IODP Expedition 375, Site U1518
キーワード:小断層発熱、ニュージーランドヒクランギ海溝、IODP Expedition 375、輝炭反射率
ニュージーランド北島沖ヒクランギ海溝ではスロー地震が1-2年周期で定期的に起こっており、そのすべりが海溝軸先端付近の浅部まで到達している可能性が指摘されている。本研究では、IODP Expedition375で得られた掘削コア試料を用いて輝炭反射率(R)を測定し、ヒクランギ海溝先端部の小断層の摩擦発熱履歴を検証することを目的としている。
対象とするサンプルは海洋ウェッジ逆断層サイトのU1518の海底290m程度のサンプルを用いた。このサンプルは層にほぼ平行な小断層の直上に位置している。海底300m付近に年代逆転を起こす逆断層破砕帯があり、その影響を受けていることが期待できる。そのサンプルを炭質物の表面が現れるまで表面研磨し、蛍光顕微鏡で撮影した写真をマップとして用いる。蛍光顕微鏡で黒色で反射顕微鏡で比較的反射率の高い平滑な面を炭質物と判断した。また、バックグラウンドの情報として、堆積物から炭質物粒子を分離し、樹脂に埋めたものを鏡面研磨した試料のビトリナイト反射率も測定した。対物レンズ50倍、接眼レンズ10倍の視野の中で粒子を位置を特定しながら反射率の測定を行った。測定装置には、高知コアセンターにある輝炭反射率測定装置を用いた。
950粒子の測定したRはおよそ0.1%から15%までに及んでいた。この中には事前に熟成して再堆積したものと初生的にその場で熟成したものの両方が含まれている。全データのヒストグラムではR0.6%に一つのピークがあり、それ以上の値を含めた全体として平均値の空間分布が不明瞭になる。このことから0.6%以上が空間的なノイズであると捉え、Rが0.6%以下を初生的なものとした。このとき、区間平均の最小のRが先行研究の初生値のバックグラウンドと同じ値になり整合的と言える。バックグラウンドの0.1-0.2%よりも高いR範囲は何かしらの原因により加熱されたと考えられる。また、このとき断層から10mm程度の範囲まで徐々に温度が下がっており、摩擦発熱の影響の可能性が見られる。しかし、断層からさらに離れた場所でも加熱の痕跡が見えることから高温流体の移流も考えられる。いずれにしても短期的な加熱イベントを想定する必要がある。断層近傍の高いRを摩擦発熱だとすると、熱拡散している10 mmに応じたすべり時間は6.25-25.0秒程度となる。地震モーメントとすべり時間の間のスケーリング測から、このすべり時間はVLFE(低周波地震)に相当する。
対象とするサンプルは海洋ウェッジ逆断層サイトのU1518の海底290m程度のサンプルを用いた。このサンプルは層にほぼ平行な小断層の直上に位置している。海底300m付近に年代逆転を起こす逆断層破砕帯があり、その影響を受けていることが期待できる。そのサンプルを炭質物の表面が現れるまで表面研磨し、蛍光顕微鏡で撮影した写真をマップとして用いる。蛍光顕微鏡で黒色で反射顕微鏡で比較的反射率の高い平滑な面を炭質物と判断した。また、バックグラウンドの情報として、堆積物から炭質物粒子を分離し、樹脂に埋めたものを鏡面研磨した試料のビトリナイト反射率も測定した。対物レンズ50倍、接眼レンズ10倍の視野の中で粒子を位置を特定しながら反射率の測定を行った。測定装置には、高知コアセンターにある輝炭反射率測定装置を用いた。
950粒子の測定したRはおよそ0.1%から15%までに及んでいた。この中には事前に熟成して再堆積したものと初生的にその場で熟成したものの両方が含まれている。全データのヒストグラムではR0.6%に一つのピークがあり、それ以上の値を含めた全体として平均値の空間分布が不明瞭になる。このことから0.6%以上が空間的なノイズであると捉え、Rが0.6%以下を初生的なものとした。このとき、区間平均の最小のRが先行研究の初生値のバックグラウンドと同じ値になり整合的と言える。バックグラウンドの0.1-0.2%よりも高いR範囲は何かしらの原因により加熱されたと考えられる。また、このとき断層から10mm程度の範囲まで徐々に温度が下がっており、摩擦発熱の影響の可能性が見られる。しかし、断層からさらに離れた場所でも加熱の痕跡が見えることから高温流体の移流も考えられる。いずれにしても短期的な加熱イベントを想定する必要がある。断層近傍の高いRを摩擦発熱だとすると、熱拡散している10 mmに応じたすべり時間は6.25-25.0秒程度となる。地震モーメントとすべり時間の間のスケーリング測から、このすべり時間はVLFE(低周波地震)に相当する。