日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 地球掘削科学

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.21

コンビーナ:黒田 潤一郎(東京大学大気海洋研究所 海洋底科学部門)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、藤原 治(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、氏家 恒太郎(筑波大学生命環境系)

17:15 〜 18:30

[MIS18-P08] 南太平洋ロードハウライズの白亜紀/古第三紀境界層の層序学的検討

*黒田 潤一郎1,3、萩野 恭子2、臼井 洋一3、Bown Paul4、熊 衎昕3、斎藤 実篤3、坂井 三郎3、Hackney Ron6、村山 雅史2、安藤 卓人5、大河内 直彦3 (1.東京大学大気海洋研究所 海洋底科学部門、2.高知大学海洋コア総合研究センター、3.国立研究開発法人海洋研究開発機構、4.Department of Earth Sciences, University Collage London、5.島根大学 エスチュアリー研究センター、6.Minerals, Energy, Groundwater Division, Geoscience Australia)

キーワード:白亜紀/古第三紀境界、オスミウム同位体、ロードハウライズ

南太平洋で実施された深海掘削計画DSDP Leg 21 では,ロードハウライズのサイト208で新生代と白亜紀の堆積物が掘削回収された.その堆積物中に白亜紀/古第三紀境界層が挟在するが,層序学的検討は石灰質ナノ化石による生層序学研究に限られていた.今回,石灰質ナノ化石によるより詳細な生層序学の再検討を行い,古地磁気層序データ,地球化学層序データを加えて,より詳細な白亜紀/古第三紀境界層の認定を行った.サイト208では海底下540~590 m で上部白亜系から暁新統までの堆積物がほぼ連続的に堆積している.石灰質ナノ化石層序の再検討によると白亜紀/古第三紀境界は海底下576.6~576.8 mの珪化インターバルの基底部に相当することが判明した.これは先行研究で認定された境界層準より30 cm 下位であった.炭酸塩炭素同位体組成はこの珪化インターバルで負のシフトを示し,グローバルな白亜紀/古第三紀境界の炭素同位体エクスカーションと似たトレンドを示す.白金族元素のオスミウムは,白亜紀末の小惑星衝突を反映して白亜紀/古第三紀境界層準で一時的に同位体比が急低下し,濃度が急上昇するため,明瞭な層序マーカーとなる.生層序学的境界層準である珪化インターバル基底部(海底下576.8 m)でオスミウム同位体比の低下が認められた.しかし,その層準ではオスミウム濃度が低かった.これらの結果から,私たちはサイト208では白亜紀/古第三紀境界層準は失われているものの,珪化インターバルの基底部(海底下576.8 m)は白亜紀/古第三紀境界に近い時期(おそらく数万年以内)に堆積したものと結論付けた.