09:00 〜 09:15
[MIS22-01] ジオパークへの学術的支援:日本地震学会ジオパーク支援委員会の取り組み
★招待講演
キーワード:地震、地震学習会、ジオパーク巡検、地震活動、可視化
ジオパーク活動の発展・充実のためには、各地のジオパークと学術的な専門性を有する各学会との有機的な連携が欠かせない。日本各地のジオパーク活動の支援ならびに地震学の知識の普及と啓発、研究の促進のために、日本地震学会では2017年度にジオパーク支援委員会が発足した。本講演では日本地震学会ジオパーク支援委員会の概要およびこれまでの活動について報告する。
日本地震学会は、当初から日本ジオパーク委員会への委員の推薦等を行っており、また社会活動基金の事業として、三陸(2011年東北地方太平洋沖地震)や栗駒山麓(2008年岩手・宮城内陸地震)、阿蘇(2016年熊本地震)のジオパークで住民セミナーを実施し、他にも地震火山こどもサマースクールや教員サマースクール、教員免許状更新講習を当該地域のジオパークの支援を受けて開催してきた。
ジオパーク活動を支援する委員会の設置に向けた取り組みが始まったのは2014年に地震学を社会に伝える連絡会議の下にジオパークワーキンググループが設置されてからである。同年の日本地震学会秋季大会(新潟)後、ジオパークワーキンググループメンバーを中心に糸魚川世界ジオパークで巡検を行い、同年11月に発生した長野県北部の地震の震源地も視察した。また、広報誌「なゐふる」で国内のジオパーク紹介の連載がこの年から始まった。
2016年には、ジオパーク支援委員会準備ワーキンググループが設置され、日本地震学会としての支援活動や支援の必要性についてアンケート調査も活用して検討し、ジオパーク支援委員会を常置委員会にすることを理事会に提案、そして2017年に日本地震学会ジオパーク支援委員会が発足した。
ジオパーク支援委員会の主な活動として、ジオパーク専門員等を対象とした地震学習会と日本地震学会員を対象にしたジオパーク巡検がある。2017〜2019年はジオパーク関係者が集まるJpGUに合わせて幕張で地震学習会を実施した。2017年はHi-net、K-NET、KiK-netで得られる地震データのリアルタイムでの入手・活用方法、海底地形図データの活用方法などの解説 、2018年は日本のジオパーク周辺の過去の被害地震(歴史地震)についての解説、2019年は地理院地図の各種機能や使い方の紹介と実演を行った。ジオパーク巡検は地震学会秋季大会開催地周辺地域のジオパークの協力の下実施している。2017年は阿蘇ジオパーク・益城町、2019年は磐梯山ジオパーク・会津若松市、2019年はジオパークではないが、京都大学阿武山観測所見学、「尾池ガイド」と行く花折断層を実施した。
地下で起こっている地震活動をジオパーク(現地)で見せられないかというジオパーク支援委員会の議論から始まり、防災科学技術研究所の尽力で実現したものが「防災科研 地震だねっと!」である。2018年7月の糸魚川世界ユネスコジオパークのフォッサマグナパークのリニューアルオープンに合わせて導入され、2021年2月現在、白山手取川ジオパーク、四国西予ジオパーク、八峰白神ジオパーク、三陸ジオパークでも導入されている。
2020年度はJpGUの開催時期の延期、リモート開催となったため、時期を変え10月にオンラインで地震学習会を開催した。地震活動の伝え方をメインテーマにして、歴史地震・歴史災害のしらべ方、箱根2015年の箱根火山の活動を題材にホームドクターである神奈川県温泉地学研究所の情報発信や箱根ジオミュージアムの活動、上記の導入済みジオパークによる「防災科研 地震だねっと!」の活用事例の紹介がなされた。この地震学習会には、最多となる62名が参加し、会員の参加者も過去最高であった。事後アンケート結果によると、オンラインでの開催によって、時間的、金銭的制約がなく参加できるのが良い、今後もオンライン開催の継続または現地開催との併用を希望するという声が多くあった。
今後もジオパーク活動の継続的な支援によって、ジオパーク活動の科学的価値の向上やジオパークを通じての地域社会とのコミュニケーションにジオパークに関わる皆さんと共に携わっていきたい。
本講演で紹介した地震学習会やジオパーク巡検、アンケート調査の実施にあたっては日本ジオパークネットワークや各地のジオパーク関係者のご協力を賜った。記して、御礼申し上げます。
日本地震学会は、当初から日本ジオパーク委員会への委員の推薦等を行っており、また社会活動基金の事業として、三陸(2011年東北地方太平洋沖地震)や栗駒山麓(2008年岩手・宮城内陸地震)、阿蘇(2016年熊本地震)のジオパークで住民セミナーを実施し、他にも地震火山こどもサマースクールや教員サマースクール、教員免許状更新講習を当該地域のジオパークの支援を受けて開催してきた。
ジオパーク活動を支援する委員会の設置に向けた取り組みが始まったのは2014年に地震学を社会に伝える連絡会議の下にジオパークワーキンググループが設置されてからである。同年の日本地震学会秋季大会(新潟)後、ジオパークワーキンググループメンバーを中心に糸魚川世界ジオパークで巡検を行い、同年11月に発生した長野県北部の地震の震源地も視察した。また、広報誌「なゐふる」で国内のジオパーク紹介の連載がこの年から始まった。
2016年には、ジオパーク支援委員会準備ワーキンググループが設置され、日本地震学会としての支援活動や支援の必要性についてアンケート調査も活用して検討し、ジオパーク支援委員会を常置委員会にすることを理事会に提案、そして2017年に日本地震学会ジオパーク支援委員会が発足した。
ジオパーク支援委員会の主な活動として、ジオパーク専門員等を対象とした地震学習会と日本地震学会員を対象にしたジオパーク巡検がある。2017〜2019年はジオパーク関係者が集まるJpGUに合わせて幕張で地震学習会を実施した。2017年はHi-net、K-NET、KiK-netで得られる地震データのリアルタイムでの入手・活用方法、海底地形図データの活用方法などの解説 、2018年は日本のジオパーク周辺の過去の被害地震(歴史地震)についての解説、2019年は地理院地図の各種機能や使い方の紹介と実演を行った。ジオパーク巡検は地震学会秋季大会開催地周辺地域のジオパークの協力の下実施している。2017年は阿蘇ジオパーク・益城町、2019年は磐梯山ジオパーク・会津若松市、2019年はジオパークではないが、京都大学阿武山観測所見学、「尾池ガイド」と行く花折断層を実施した。
地下で起こっている地震活動をジオパーク(現地)で見せられないかというジオパーク支援委員会の議論から始まり、防災科学技術研究所の尽力で実現したものが「防災科研 地震だねっと!」である。2018年7月の糸魚川世界ユネスコジオパークのフォッサマグナパークのリニューアルオープンに合わせて導入され、2021年2月現在、白山手取川ジオパーク、四国西予ジオパーク、八峰白神ジオパーク、三陸ジオパークでも導入されている。
2020年度はJpGUの開催時期の延期、リモート開催となったため、時期を変え10月にオンラインで地震学習会を開催した。地震活動の伝え方をメインテーマにして、歴史地震・歴史災害のしらべ方、箱根2015年の箱根火山の活動を題材にホームドクターである神奈川県温泉地学研究所の情報発信や箱根ジオミュージアムの活動、上記の導入済みジオパークによる「防災科研 地震だねっと!」の活用事例の紹介がなされた。この地震学習会には、最多となる62名が参加し、会員の参加者も過去最高であった。事後アンケート結果によると、オンラインでの開催によって、時間的、金銭的制約がなく参加できるのが良い、今後もオンライン開催の継続または現地開催との併用を希望するという声が多くあった。
今後もジオパーク活動の継続的な支援によって、ジオパーク活動の科学的価値の向上やジオパークを通じての地域社会とのコミュニケーションにジオパークに関わる皆さんと共に携わっていきたい。
本講演で紹介した地震学習会やジオパーク巡検、アンケート調査の実施にあたっては日本ジオパークネットワークや各地のジオパーク関係者のご協力を賜った。記して、御礼申し上げます。