日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 山の科学

2021年6月4日(金) 09:00 〜 10:30 Ch.13 (Zoom会場13)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学山の環境研究センター)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、座長:有江 賢志朗(新潟大学)

09:45 〜 10:00

[MIS23-04] 2021年2月7日にインド北部で発生した大規模洪水

*奈良間 千之1、山田 奈穂2 (1.新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム、2.新潟大学大学院自然科学研究科)

キーワード:氷河崩落、岩盤崩落、洪水、インドヒマラヤ

2021年2月7日の現地時間10時半ごろ,インド北部のUttarakhand州において大規模な洪水が発生した.Topoban Vishnugad水力発電所での作業員約170人以上の行方不明者と38人の死亡が確認されたほか,家屋,ダム,水力発電所,橋などの構造物が倒壊する被害がでた.洪水は,Rishiganga川上流で発生したとされ,その後Dhauliganga川に合流し,Chamoli地区のRaini村(標高2000m)および下流に位置するTopoban Vishnugad水力発電所(標高1800m)を通過した.Raini村は2つの川が合流する地点に位置する.洪水の要因として,洪水前後の衛星画像PlanetScope(2月6日11:00と7日11:00),Landsat8(2月5日撮影),Sentinel-2(2月10日撮影)から,Nanda Ghunti峰の北稜沿いの北側面において,崩落個所には岩盤斜面と小規模な懸垂氷河が確認された.ALOSWorld3D DEMより,崩落個所は,標高5665-4930mに位置しており,その範囲は幅600m,長さ800mで標高差約730mであった.崩落直後の2月7日の衛星画像PlanetScopeでは,Raini村上流5km地点からRaini村下流3km地点までが茶色の靄に覆われていた.現地においても洪水時に土砂が混じった濁流が確認されている.さらに洪水後の同衛星画像から,Raini村上流15km地点から8km地点のおよそ7kmにわたって,両岸に位置する斜面の雪が消失していた.