日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 山の科学

2021年6月4日(金) 10:45 〜 12:15 Ch.13 (Zoom会場13)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学山の環境研究センター)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、座長:西村 基志(国立極地研究所 国際北極環境研究センター)

11:50 〜 12:10

[MIS23-11] 地域気候モデルを用いた中部山岳の降積雪の再現と将来予測

★招待講演

*川瀬 宏明1、山崎 剛2、杉本 志織3、村田 昭彦1、野坂 真也1、佐々木 秀孝1 (1.気象庁気象研究所、2.東北大学、3.海洋研究開発機構)

キーワード:中部山岳、降雪・積雪、地球温暖化、地域気候変化、高解像度地域気候モデル

地球温暖化に進行に伴い、世界的な積雪の減少が懸念されている。一方、シベリアやアラスカ、ロッキー山脈やアルプス山脈などでは、冬季の気温がかなり低く、温暖化に伴い降雪量が増加する可能性も指摘されている。本研究では、気象研究所の大気大循環モデル及び地域気候モデルを用いた気候変化予測実験の結果を解析し、地球温暖化に伴う日本の降雪・積雪の将来変化の特徴を調査した。さらに、「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」を1km格子まで力学的にダウンスケーリング(高解像度化)することで、極端な多雪年と少雪年における中部山岳域の降雪と積雪の将来変化を調べた。

 日本では、地球温暖化に伴い、全国的に年最深積雪が減少する一方、北海道では冬期の降雪量が増加する傾向が見られた。また、中部山岳域では、が温暖化に伴い冬期の最大日降雪量が増加する予測となった。一方、日本海に面し標高が高い北アルプスでは、工業化前から4度上昇した場合において、多雪年の厳冬期には、現在と同程度の積雪が計算された。それに対し、少雪年の積雪や降雪量は、年間を通じて大幅に減少した。今回の実験から、地球温暖化の進行により北アルプスでは厳冬期の降雪や積雪は、現在よりも極端化することが示唆された。