日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 山の科学

2021年6月4日(金) 13:45 〜 15:15 Ch.13 (Zoom会場13)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学山の環境研究センター)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、座長:今野 明咲香(常葉大学)

13:45 〜 14:00

[MIS23-13] 定点撮影カメラの時系列写真を用いた土地被覆図の自動作成 高山生態系モニタリングネットワークの構築を目指して

*岡本 遼太郎1、小熊 宏之2、井手 玲子2 (1.筑波大学、2.国立環境研究所)

キーワード:リモートセンシング、深層学習、高山帯

高山生態系は気候変動に対して最も脆弱な生態系の一つであり、積雪や氷河といった物理環境や種分布、フェノロジーなどの生物環境の変化が既に報告されている。高山生態系の気候変動応答を理解し、有効な保全策を策定するためには経時的なモニタリングによってこのような生態学的現象の時空間変化を検出することが必要である。国立環境研究所では約10年間にわたって、定点撮影カメラを用いた高山生態系モニタリングを行っている。本研究ではこのような定点撮影カメラによる長期観測データを用いて植生や残雪などの時空間分布を明らかにすることを目的にソフトウェア開発を行っている。開発中のソフトウェアは、定点撮影カメラ写真を①少ない教師データのみで植生や土地被覆ごとに塗りつぶし(セマンティック・セグメンテーション)②地形図と重ねて地理情報化する(オルソ化)ことによって、植生や残雪の分布情報を取得する。提案手法の新規性は、①時系列のピクセル値変化を用いた深層学習によるセマンティック・セグメンテーション、②オープンソース・ソフトウェアによる地上撮影写真の高精度な地理情報化、の2点である。定点撮影カメラを用いた大規模な高山生態系モニタリングネットワークを構築することを目指して、ソフトウェアは全て再利用可能な形で公開する予定である。発表では、開発中のソフトウェアの概要と展望について述べる。