日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.10 (Zoom会場10)

コンビーナ:伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、柳澤 孝寿(国立研究開発法人海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、相木 秀則(名古屋大学)、座長:中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

09:30 〜 09:45

[MIS24-03] 偏西風付近で持続する渦における外部の渦に着目した高・低気圧非対称性

*山本 晃立1、伊賀 啓太1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:高・低気圧非対称性、渦位、流跡線解析

日本を含む中・高緯度の天候は,偏西風の蛇行のために様々な影響を受ける.blocking高気圧やcut-off低気圧といった渦は,偏西風の蛇行によって発生する.それぞれの先行研究によって,持続のメカニズムが互いに異なる可能性があることが示唆的となっている.しかし,両者を包括的に比較し,この高・低気圧非対称性を明確にした研究はほとんど存在しない.そこで本研究では,偏西風付近で持続する渦に着目し,渦の移動とそれをもたらす理由の1つとして考えられる渦位の流入について解析を実施した.まず,先行研究で提案されているblocking高気圧の客観抽出手法を用いて,持続性をもつ非双極子型の渦を全球再解析データから抽出した.その際,南北対称に低気圧にも適用できるようにした.1958年3月から2019年2月までの61年間を対象にし,500hPa面のジオポテンシャル高度を用いて抽出した.抽出された渦の特性について高・低気圧で比較した結果,中心の移動距離などいくつかの特徴に関して統計的に有意な差があることが示唆された.さらに,特定の期間に絞って詳細に移動を見たところ,低気圧の方が東西方向への移動が大きく,南北方向の移動は小さい傾向にあることを確認した.続いてこの原因を考察するために,渦の中心の周囲における渦位の流入に着目して合成図解析を行ったところ,流入状況と上記の中心の移動状況とは整合的であるとの結果を得た.また,低気圧に対しては主に西からの高渦位の流入が顕著であったのに対して,高気圧に対する低渦位に関してはそのような傾向は見られなかった.最後に,流入の確認のため,そしてこの流入をもたらした空気塊がどこに起源をもつのかを探るため,後方流跡線解析を実施した.その結果,高・低気圧ともに,上流から東進してきた移動性擾乱と,これより前の時刻に存在していた渦に,起源が大別されることが明らかとなった.また,中心付近では非断熱的効果にも影響を受けることが判明したが,ほとんどすべての低気圧の事例では,そのすぐ南側に対流活発域に伴う渦位の減少が顕著な領域が確認された.一方で,同様の特徴は高気圧では確認できなかった.以上のように,偏西風付近で持続する渦が維持されるメカニズムには,高・低気圧で異なる部分をもつことが示唆された.