日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 歴史学×地球惑星科学

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.16 (Zoom会場16)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、磯部 洋明(京都市立芸術大学美術学部)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、岩橋 清美(国文学研究資料館)、座長:加納 靖之(東京大学地震研究所)、岩橋 清美(国文学研究資料館)

15:00 〜 15:15

[MIS27-04] 教科書における自然現象の記述と人々の認識

*玉澤 春史1,2 (1.京都市立芸術大学、2.京都大学)

過去の記録を紐解くことで人々が自然現象をどのように認識していたかを知ることができるが,自然科学の専門的な研究によって最先端の知識と一般市民の認識には時間的なずれが生じる場合がある.近世・近代以降は教科書における記述がどうなっているか,またその流布がどの程度だったかを知ることにより,当時の認識をより詳細に知ることができる.とくに,場所によってはあまりなじみのない現象については最新の知識を外部から入れることになり,従来からの認識からどのように接続されていくのかが変化する.日本国内でオーロラがみられることはまれであるが,大規模に観測された場合は様々な記録が残っている場合がある.一方でその解釈は記録者によってさまざまである.明治期になり低緯度オーロラの記述は地理や地学の教科書に記載されているが,一方で江戸後期の書物には欧州からの専門書の翻訳として一部に記載されている場合がある.中国漢籍由来の「赤氣」ということばは明治期に「極光」となり片仮名で「オーロラ」と表記されているが,一部書物では直訳である「北光」が使われているなど,現象と認識観測された低緯度オーロラとその科学的認識がどのように一致していったかは,当時の国内の科学者がどのように知識を得ていったかに関係する.