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[MZZ46-P01] 海底マンガンクラスト中の砕屑起源物質から海洋環境を読み取る試み
キーワード:古海洋環境、マンガンクラスト、海底堆積物
世界の全海洋底では,2000万年以上前から鉄・マンガン酸化物沈殿し続けているため,海山の露岩域や深海底などにマンガンクラストやマンガン団塊が広く分布している。潜在的な海底鉱物資源であると同時に,地球史を記録する長レンジ化学堆積岩としても注目されている。発見当初から古海洋環境変遷史解読のアーカイブ,テープレコーダーとして,環境変遷の指標として可能性が指摘されてきた。我々も,様々なスケールの縞状構造や組成変化やその地域変動を報告した。しかし変動を読み取るデータの多くは,主成分の海水起源(hydrogenetic)である鉄マンガン酸化物の鉱物・化学組成や成長構造に着目したものであった。本研究では,特に副成分である他の起源物質に注目し,その頻度変化や周期性などを読み取る可能性を試行錯誤した。新たな分離,分析手法を活用してさらに研究発展へつなげ,海洋堆積物コアに近い確実な同定,年代モデル,頻度分布などの情報を得ることが目標である。当面対象としたものは,海底の基盤岩,陸源物質(河川起源,風成塵)起源の鉱物粒子,生物の遺骸や生痕,惑星外物質,火山噴火や熱水噴出や化学的沈殿物など多様である。可能な限り高解像度,高分解能で同定することが基本となるため,高精度の光学顕微鏡/電子顕微鏡観察,種々の微小部化学分析,X線CT,組成解析ソフト,選択化学抽出,比重分離などの様々な方法を試みた。その結果,既に報告している磁性鉱物,生物由来物質のほか,微化石密集層,隕石由来鉱物,風成塵,化学沈殿物,岩石風化物などの粒子が特定できる可能性があることがわかった。今後,その分離,同位体組成,年代モデル構築,縞々の由来,それらの時空変動の要因の特定など課題は山積するが,大きな可能性も期待できる。