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[MZZ46-P03] 鉄マンガンクラストの生成場周辺における基盤岩の海底侵食
キーワード:鉄マンガンクラスト、魚の歯化石、ストロンチウム同位体
西太平洋の拓洋第五海山の水深1424mから採取されたマンガンクラストHPD#958R12試料を研究対象として,クラスト生成場周辺における海底侵食について検討した。本クラストの表層4cmの7層準から分離した魚の歯化石試料は,それぞれ25個〜54個で,質量は約0.1mg〜0.2mgである。これら層準ごとのイクチオリスをまとめて化学処理し,Sr同位体比を分析した。その結果,87Sr/86Sr比は0.70809〜0.70880であった。本クラストの10Be年代から想定される海水Sr同位体比と比較して,すべての試料で大幅に低く,かつ層準ごとに特別な傾向は見られず,成長方向に対してジグザクな値を有していた。これらのことから,クラスト中に含まれる魚の歯は,クラスト成長時に生きていた魚だけではなく,低いSr同位体比を持つ過去の魚の歯化石も含まれることが明らかになった。JAMSTEC航海におけるROVによる海洋底の観察結果,および採取試料の検討に基づくと,拓洋第5海山の山頂付近において露出している地層は,白亜紀の礁性炭酸塩堆積物が燐灰化した硬い燐灰土である。本研究の結果は,これら燐灰土が海底で物理的な侵食・削はくを強く受け,洗い出されたイクチオリスがクラストに取り込まれるという機構が定常的に働いていることを明確に示唆し,硬い堆積岩の物理侵食とマンガン酸化物の化学沈殿という現象が,近接箇所で共存し起こっていることが示された。