17:15 〜 18:30
[MZZ46-P05] 南太平洋で採取されたマンガンノジュールの古地磁気学的解析による回転の復元
キーワード:マンガン団塊、古地磁気学、地磁気伏角、成長過程
マンガンノジュールは、Mn, FeのほかにCu, Ni, Co, 希土類元素(REE)などの有用金属元素を含有するため,将来の金属鉱物資源として今後の開発が期待されていると同時に、海洋環境を記録する堆積岩としても重要である。一般に、海底堆積物の表面に産出し,堆積物によって埋没すること無く成長し続けると信じられている。しかし,その成長過程は十分に判明されておらず,特に成長中に物理的な移動や回転などの運動があることは証明されていない。本研究の目的は、古地磁気学的観点から、マンガンノジュールの成長過程における回転の復元を試みて,深海における堆積作用との関係を明らかにすることである。数千年間の地球磁場を平均すると地心軸双極子で近似でき、磁場中で成長するマンガンノジュール表面に記録される残留磁化方位は、当時の磁場方位に一致すると期待される。マンガンノジュールが成長過程で回転していなければ、残留磁化方位から当時の磁気伏角を求めることにより、古緯度を求める事が可能である。逆に、マンガンノジュールが回転していたとすれば、磁気伏角から計算される古緯度は実際の緯度と異なる事になり、この食い違いから回転量の検出も可能である。
試料は、工業技術院(現在の産総研)地質調査所によって1983年にぺンリン海盆で実施されたGH83-3航海において水深5248 mからボックスコアラー(西経158 度30 分64 秒、南緯12 度00 分03 秒)によって,深海粘土堆積物の表面から原位置のまま採取され、球形(B92-1-1; 縦74 mm、横60 mm、高さ66 mm)である。採取時に試料の頂点(中心)に、ホワイトマーカーで印をして鉛直上方向の基準とした。
ダイヤモンドカッターを用いて、マーカーとノジュールの中心を含む面で垂直に半割して半割面から板状のA試料を採取した。また、残りの半割試料のマーカーを含む面で直交方向に分割して、その切断面からA試料と直交する板状のB試料を得た。A試料、B試料それぞれについて、縦方向に5列の短冊状試料を分割し、さらに成長方向に5試料(3.0 mm x 6.0 mm x 8.0 mm)あるいは10試料(1.6 mm x 4.8 mm x 9.0mm)の小片に分割し、成長に伴う古地磁気・岩石磁気パラメータの変化を測定した。試料の自然残留磁化は、産業技術総合研究所のパススルー型超伝導岩石磁力計(2G Enterprises Model 760R)を用いて測定し、段階交流消磁実験と消磁曲線の解析により初生残留磁化成分を求めた。また、超伝導岩石磁力計を用いて非履歴性残留磁化の測定も行った。さらに、振動試料型磁力計(Lakeshore社 VSM 8604型)を用いて、磁気ヒステリシス、等温残留磁化獲得曲線、FORC(First Order Reversal Curve)などの岩石磁気特性を測定した。
これまでの古地磁気データの解析により、A試料、B試料ともにホワイトマーカー近くの表面付近の試料の古地磁気伏角は試料採取地点で期待される地磁気伏角(-23 度)とよく一致することが確認された。このことから、ノジュールの表層は、現在の地磁気を記録していることが確認できた。また、過去に遡るにつれて古地磁気伏角は深くなる傾向が見られたことから、ノジュールは回転していることが考えられる。本発表ではこれらデータに基づいてマンガンノジュールの成長中の回転の可能性について論じるとともに、岩石磁気データに基づく磁性鉱物の種類と起源についても考察する。
試料は、工業技術院(現在の産総研)地質調査所によって1983年にぺンリン海盆で実施されたGH83-3航海において水深5248 mからボックスコアラー(西経158 度30 分64 秒、南緯12 度00 分03 秒)によって,深海粘土堆積物の表面から原位置のまま採取され、球形(B92-1-1; 縦74 mm、横60 mm、高さ66 mm)である。採取時に試料の頂点(中心)に、ホワイトマーカーで印をして鉛直上方向の基準とした。
ダイヤモンドカッターを用いて、マーカーとノジュールの中心を含む面で垂直に半割して半割面から板状のA試料を採取した。また、残りの半割試料のマーカーを含む面で直交方向に分割して、その切断面からA試料と直交する板状のB試料を得た。A試料、B試料それぞれについて、縦方向に5列の短冊状試料を分割し、さらに成長方向に5試料(3.0 mm x 6.0 mm x 8.0 mm)あるいは10試料(1.6 mm x 4.8 mm x 9.0mm)の小片に分割し、成長に伴う古地磁気・岩石磁気パラメータの変化を測定した。試料の自然残留磁化は、産業技術総合研究所のパススルー型超伝導岩石磁力計(2G Enterprises Model 760R)を用いて測定し、段階交流消磁実験と消磁曲線の解析により初生残留磁化成分を求めた。また、超伝導岩石磁力計を用いて非履歴性残留磁化の測定も行った。さらに、振動試料型磁力計(Lakeshore社 VSM 8604型)を用いて、磁気ヒステリシス、等温残留磁化獲得曲線、FORC(First Order Reversal Curve)などの岩石磁気特性を測定した。
これまでの古地磁気データの解析により、A試料、B試料ともにホワイトマーカー近くの表面付近の試料の古地磁気伏角は試料採取地点で期待される地磁気伏角(-23 度)とよく一致することが確認された。このことから、ノジュールの表層は、現在の地磁気を記録していることが確認できた。また、過去に遡るにつれて古地磁気伏角は深くなる傾向が見られたことから、ノジュールは回転していることが考えられる。本発表ではこれらデータに基づいてマンガンノジュールの成長中の回転の可能性について論じるとともに、岩石磁気データに基づく磁性鉱物の種類と起源についても考察する。