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[MZZ48-P01] 山形城二ノ丸土塁北東部のの土塀礎石の石材岩種について
キーワード:土塀礎石、岩種、二ノ丸土塁、山形城
山形城のニノ丸土塁北東部は,ニノ丸東大手門から北門にかけての区域である.平成28年度から30年度(2016〜2018)にかけて,山形市教育委員会により発掘調査が実施された.その結果,北東部の隅櫓である艮櫓や土塁北辺の櫓である肴町向櫓の石垣が検出されたほか,ほぼ全域で土塀の礎石が良好に出土した.艮櫓および肴町向櫓の石垣については,石材調査が実施された(大友,2020).今回は,土塀の礎石について実施した石材調査結果の概要を報告する.なお,土塀の礎石は新旧の2時期あり(図),旧時期土塀が土塁の不等沈下で傾いてしまったために内側に新設されたと推定されている(山形市教育委員会,2020).今回調査した石材は新時期のものである.
土塀の礎石のほとんどが安山岩からなる.安山岩は礎石全体の1383個中1270個で92.03%を占める.礎石で10個以上のものは,デイサイト47個(3.40%),花崗岩40個(2.89%),流紋岩18個(1.30%)である.少ないものは玄武岩5個,凝灰角礫岩,緑色凝灰岩,緑色安山岩が各1個である.ほとんどが亜円礫で,河床礫由来である.デイサイトの大部分と,流紋岩と花崗岩の一部は角礫で,岩塊である.
安山岩は,ほとんどが灰色から黒色で,包有岩(玄武岩と思われる)を含むものが30.39%,火山ガスの空隙が目立つもの4.7%がある.また赤紫色を呈するものが1.89%ある.赤紫色のものは高温酸化して赤色に見える安山岩である.
デイサイトは,細い黒色の縞状構造を持つもの(33.33%)と,持たない塊状のもの(31.11%)があり,縞状構造が判別できないもの(35.56%)もあった.両方の岩相とも盃山周辺に分布するデイサイト岩体に見られるが,縞状構造を持つ岩相は分布が限られている(大友,2016).大部分が角ばった岩塊で,肴町向櫓や艮櫓の石垣に使われている石材と同じ岩相であり,石垣を建造した余りが土塀基礎にも使用されているのではないかと考えられる.
花崗岩は粗粒黒雲母花崗岩(65.00%),中粒黒雲母花崗岩(32.50%),細粒花崗岩(2.50%)で,馬見ヶ崎川上流に分布する花崗岩体(大友ほか,2019)由来の円〜亜円礫である.
今回玄武岩として区分したものは,直径lcm程度の大きい斜長石斑晶が入っており,斑晶量も比較的多い岩石である.瀧山に特徴的な岩相なので,この岩相の火山岩を玄武岩として区分した.
凝灰角礫岩,緑色凝灰岩,緑色安山岩が各1個あった.凝灰角礫岩,緑色凝灰岩は中新世の成沢層,緑色安山岩は宝沢層由来の河床礫と推定される.凝灰角礫岩には花崗岩等の岩片が含まれている.緑色安山岩の空隙はめのうで充填されている.
これらの各岩種の割合は,二ノ丸北東部土塁を通してほぼ一定で,地区ごとの大きな偏りはない.なお,艮櫓に隣接した7地区には石垣石材と同じデイサイトが11個まとまって分布している.
文献
山形市教育委員会, 2020, 山形県山形市埋蔵文化財調査報告書第39集,14-110.
大友幸子, 2016,日本地質学会第123年学術大会要旨,190.
大友幸子, 2020, 山形県山形市埋蔵文化財調査報告書第39集,111-115.
大友幸子ほか, 2019,山形応用地質,no. 45,89-93.
土塀の礎石のほとんどが安山岩からなる.安山岩は礎石全体の1383個中1270個で92.03%を占める.礎石で10個以上のものは,デイサイト47個(3.40%),花崗岩40個(2.89%),流紋岩18個(1.30%)である.少ないものは玄武岩5個,凝灰角礫岩,緑色凝灰岩,緑色安山岩が各1個である.ほとんどが亜円礫で,河床礫由来である.デイサイトの大部分と,流紋岩と花崗岩の一部は角礫で,岩塊である.
安山岩は,ほとんどが灰色から黒色で,包有岩(玄武岩と思われる)を含むものが30.39%,火山ガスの空隙が目立つもの4.7%がある.また赤紫色を呈するものが1.89%ある.赤紫色のものは高温酸化して赤色に見える安山岩である.
デイサイトは,細い黒色の縞状構造を持つもの(33.33%)と,持たない塊状のもの(31.11%)があり,縞状構造が判別できないもの(35.56%)もあった.両方の岩相とも盃山周辺に分布するデイサイト岩体に見られるが,縞状構造を持つ岩相は分布が限られている(大友,2016).大部分が角ばった岩塊で,肴町向櫓や艮櫓の石垣に使われている石材と同じ岩相であり,石垣を建造した余りが土塀基礎にも使用されているのではないかと考えられる.
花崗岩は粗粒黒雲母花崗岩(65.00%),中粒黒雲母花崗岩(32.50%),細粒花崗岩(2.50%)で,馬見ヶ崎川上流に分布する花崗岩体(大友ほか,2019)由来の円〜亜円礫である.
今回玄武岩として区分したものは,直径lcm程度の大きい斜長石斑晶が入っており,斑晶量も比較的多い岩石である.瀧山に特徴的な岩相なので,この岩相の火山岩を玄武岩として区分した.
凝灰角礫岩,緑色凝灰岩,緑色安山岩が各1個あった.凝灰角礫岩,緑色凝灰岩は中新世の成沢層,緑色安山岩は宝沢層由来の河床礫と推定される.凝灰角礫岩には花崗岩等の岩片が含まれている.緑色安山岩の空隙はめのうで充填されている.
これらの各岩種の割合は,二ノ丸北東部土塁を通してほぼ一定で,地区ごとの大きな偏りはない.なお,艮櫓に隣接した7地区には石垣石材と同じデイサイトが11個まとまって分布している.
文献
山形市教育委員会, 2020, 山形県山形市埋蔵文化財調査報告書第39集,14-110.
大友幸子, 2016,日本地質学会第123年学術大会要旨,190.
大友幸子, 2020, 山形県山形市埋蔵文化財調査報告書第39集,111-115.
大友幸子ほか, 2019,山形応用地質,no. 45,89-93.