16:30 〜 17:00
[O02-06] 平成30年7月豪雨で被災したジオパークの事例 ~愛媛県西予市及び四国西予ジオパークの復興に向けた3年間の歩み~
★招待講演
キーワード:四国西予ジオパーク、西予市、平成30年7月豪雨、防災・減災、災害伝承
愛媛県南西部に位置する四国西予ジオパークは、東西約50kmのエリア内に黒瀬川構造帯を含む秩父帯の地質学的な景観、海抜0mのリアス海岸から標高約1,400mの四国カルストまで多様な地形や気候が存在し、これらに根ざした伝統的な文化が残っている。この地域は平成30年7月豪雨の際に、各地で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、家屋や建造物が被害を受けた。特に野村町野村地区にある住宅地では大規模な浸水被害が発生した。西予市全体で一連の災害によって6 名の尊い命が失われた。加えて全部で23 ヶ所あるサイトのうち、計5 ヶ所が立ち入りに支障をきたす被害を受けた。うち4 ヶ所は復旧したが、「桂川渓谷」は現在も入口付近を除き立ち入りを制限する状態が続いている。発災してからしばらくの間、事務局の運営は停止せざるを得なかったが、日本ジオパークネットワーク(JGN) の災害対応指針に基づき、JGN会員地域及び関係者から義援金が寄せられる等の支援を受けた。またジオパーク専門員や研究者に災害調査を年1回程度行っていただき、今後の災害復旧および活動方針に対して助言をいただいている。
被災後、住民の中では防災や身の回りの地形への関心が高まった。これを受けて、災害や土地の成り立ちに着目した屋外巡検を中心に据えた学習会「せいよ自然と暮らしのカレッジ」や、小中学校、公民館、職場組合等においてハザードマップや地理院地図、防災科研の「地震だねっと」を使った出前講座を実施するなど、防災・減災啓発を軸とした活動を展開してきた。また2020年(令和2年)10月に、被災した乙亥会館の一室を改修し、災害伝承展示室を設置した。災害の記録と記憶を語り継ぐことを目的とした展示には大地の成り立ちや、地形がもたらす「恵み」の紹介など、ジオパークならではの視点を盛り込んでいる。加えて「災害語り部」による案内及び災害VR・ARコンテンツを整備するなど、様々な活用ができるように工夫を凝らした。そしてこうした取り組みは、ぼうさいこくたいや日本ジオパーク全国大会、その他数多くの研修会や講演会で発信してきている。
被災後の3年間の歩みを振り返り、本地域におけるこれまでの防災啓発は、避難訓練に代表されるような「災害が起こった際にどのように行動するか」という対応の普及に重点が置かれてあり、地形の特徴からどのような災害リスクを抱えているか住民に十分に伝えることができていなかったということを実感している。その視点を醸成するにはハザードマップの作成や配布だけでは不十分で、実際に大地の成り立ち沿った現地見学によって気づきをもたらすことが重要である。実はこうした活動は各地のジオパークで盛んに進められ、そのノウハウが蓄積されつつある。ジオパークは地質遺産の保全を目的として始まった国際的な認証制度であるが、防災減災啓発に関して社会全体に果たす貢献は大きいのではないかと考えている。
被災後、住民の中では防災や身の回りの地形への関心が高まった。これを受けて、災害や土地の成り立ちに着目した屋外巡検を中心に据えた学習会「せいよ自然と暮らしのカレッジ」や、小中学校、公民館、職場組合等においてハザードマップや地理院地図、防災科研の「地震だねっと」を使った出前講座を実施するなど、防災・減災啓発を軸とした活動を展開してきた。また2020年(令和2年)10月に、被災した乙亥会館の一室を改修し、災害伝承展示室を設置した。災害の記録と記憶を語り継ぐことを目的とした展示には大地の成り立ちや、地形がもたらす「恵み」の紹介など、ジオパークならではの視点を盛り込んでいる。加えて「災害語り部」による案内及び災害VR・ARコンテンツを整備するなど、様々な活用ができるように工夫を凝らした。そしてこうした取り組みは、ぼうさいこくたいや日本ジオパーク全国大会、その他数多くの研修会や講演会で発信してきている。
被災後の3年間の歩みを振り返り、本地域におけるこれまでの防災啓発は、避難訓練に代表されるような「災害が起こった際にどのように行動するか」という対応の普及に重点が置かれてあり、地形の特徴からどのような災害リスクを抱えているか住民に十分に伝えることができていなかったということを実感している。その視点を醸成するにはハザードマップの作成や配布だけでは不十分で、実際に大地の成り立ち沿った現地見学によって気づきをもたらすことが重要である。実はこうした活動は各地のジオパークで盛んに進められ、そのノウハウが蓄積されつつある。ジオパークは地質遺産の保全を目的として始まった国際的な認証制度であるが、防災減災啓発に関して社会全体に果たす貢献は大きいのではないかと考えている。