日本地球惑星科学連合2021年大会

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[O-02] 自然災害と人 ~ジオパークで地球の声に耳を澄ます~

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.02

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(糸魚川市役所)、横山 光(北翔大学)

17:15 〜 18:30

[O02-P16] 「崩れる大地」「流される大地」とともに生きゆく人々の暮らし 〜三好ジオパーク構想として自然災害への取り組みを考える〜

*殿谷 梓1、大境 克典1、枋谷 泉季1、大西 裕之1、松本 俊明1 (1.三好市役所ジオパーク推進室)

キーワード:三好ジオパーク構想、ジオハザード、地すべり、洪水、中央構造線

日本は世界でも有数の変動帯として知られている地域である.そのため,地震(海溝型地震・内陸型地震),火山,山地山脈の隆起によって引き起こされる豪雨や斜面崩壊など,変動帯特有の多様な自然災害が多発するエリアである.

三好ジオパーク構想のエリアは,徳島県三好市一円である.その地質・地形・気象の特徴としては,
1. エリアの南側に四国山地,北側には讃岐山脈があり,その間には,中央構造線がほぼ東西方向に貫いている
2. エリア内の南側の大部分が三波川帯と呼ばれる結晶片岩からなる大地から構成されており,1500m前後の高峰を作り出している
3. 四国山地側の山間部では年間平均降水量が2500mmと多雨な環境となっている
4. エリアの北側には砂岩と泥岩から構成される讃岐山脈があり,場所によっては流れ盤構造となっている箇所がある
5. エリア内には吉野川が流れ,その上流部(四国山地側)は多雨な環境であるために,頻繁に増水を引き起こす
などがある.

これらの特徴が引き金となって,このエリアでは斜面崩壊(地すべりなど)や洪水などの自然災害が過去に多発してきた.この自然環境の中で暮らしてきた人々の生活様式の中には,多発する自然災害と共生してきた暮らしを数多く垣間見ることができる.例えば,急峻な地形で暮らすための工夫として言い伝えられた妖怪話(口頭伝承),低地につけられた「シマ」という地名(洪水時に”島“のように見えることから名付けられた)などである.

このように三好ジオパーク構想は,斜面災害や洪水などの自然災害と共生してきた人の生活様式を様々な形で知ることができる地域であり,過去に起きてきた自然災害の経験値が継承されている.その一方で,この地特有の自然災害のメカニズムに関して,地域の人々が十分に正しく理解しているとは言えない.

本発表では,三好ジオパーク構想エリア内に数多くある自然災害と共生してきた暮らしを紹介しつつ,三好ジオパーク構想の自然災害への取り組みについて説明する.