日本地球惑星科学連合2021年大会

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[O-02] 自然災害と人 ~ジオパークで地球の声に耳を澄ます~

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.02

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(糸魚川市役所)、横山 光(北翔大学)

17:15 〜 18:30

[O02-P22] 糸魚川ユネスコ世界ジオパークでの化石採集イベント「糸魚川ジオパーク化石見つけ隊 ―化石を探して夏休みの自由研究を解決しよう」の実施

*茨木 洋介1、古見 浩、ロングホーン エマ、小河原 孝彦1、竹之内 耕1、香取 拓馬2、小林 猛生2 (1.フォッサマグナミュージアム、2.糸魚川ジオパーク協議会)

キーワード:糸魚川ユネスコ世界ジオパーク、フォッサマグナミュージアム、化石採集、教育普及活動、地質多様性

糸魚川市では、糸魚川ジオパークが世界ジオパークに認定された2009年より前から、市民に向けてさまざまな普及事業を開催してきた。2020年度は、新型コロナウィルスの蔓延によって多くの行事が中止・延期になる中、全国科学博物館協議会に申請して給付が決定した補助金「全国科学博物館活動等助成事業」を利用して、化石を利用した普及行事を計画、実施した。

行事の内容は、糸魚川ジオパークの特徴である多様な地質を活かし、市内の古生代、中生代、新生代それぞれの地層に含まれる化石を探し、地質や化石について学ぶこと、福井県立恐竜博物館の見学と化石採集体験、の4回開催することとした。対象は小学校年1年生~中学3年年の子どもとその保護者とし、新型コロナウィルスの感染防止のため、参加者の人数を10人前後にするといった対策を講じた。

参加者募集の告知は、市内の全ての小・中学校に児童・生徒の人数分のちらしを配布、糸魚川市の広報紙に記事を掲載、さらに糸魚川ジオパーク公式Facebookにより行った。申し込みの窓口はフォッサマグナミュージアムとし、申し込み方法は公平性を担保するため電話のみとした。

糸魚川ジオパークでは、ジオに関する主要なテーマとして、ヒスイやフォッサマグナ、海岸で見つかる多様な石などが取り上げられ、糸魚川ジオパークのPRなどに活用されてきてきた。しかし、化石については、糸魚川ジオパークの活動の中では、数多くのテーマのひとつとして扱われてきた。

化石は、子どもたちだけでなく大人たちにとっても興味を引きやすいテーマであり、ジオに親しんでもらうための入り口として有用である。今回の行事の参加募集では、当初の想定を大幅に越える参加申し込みがあり、申込初日の朝から電話が鳴り止まず、申し込み開始1時間ほどで申し込みが募集定員を上回り、キャンセル待ちの受付もおこなった。参加の申し込みが予想以上に多数あったことは、コロナウィルス感染症でさまざまな行事が中止になっていたことを差し引いても、化石の人気の高さを示す証拠と言えると考えられる。

今回の一連の行事を通して、参加した子どもたちは、糸魚川ジオパークと福井県勝山市で化石を自らの手で探して見つけ、スタッフからの説明を聞くことで、その化石が生きていた時の姿、化石となった生き物が生きていた大昔のことを想像したことと思われる。中には将来化石の研究をしたいと考えた子どもいるかもしれない。恐竜時代の化石の採集は、糸魚川市市振と、福井県勝山市で行ったが、残念ながら恐竜化石の発見には至らなかった。しかし、参加者全員が、恐竜が生きていた時代の化石を手にし、満足度は高かったと思われる。

今後、2020年度には、「全国科学博物館活動等助成事業」の助成金の残額を利用して、3月末に化石のレプリカ作り体験を計画している。今後とも、糸魚川ジオパークの化石を積極的に教育普及に取り上げていきたい。