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[O03-04] 2019年台風15号による沿岸被害はなぜ横浜港に集中したのか?
★招待講演
キーワード:2019年台風15号、沿岸災害、東京湾
熱帯低気圧の最大強度位置の極方向への移動や上陸する台風の強度強化など,日本を含む東アジア諸国での台風のリスクが増加してきている.2019年9月に発生した台風15号(T1915,アジア名Faxai)は関東地方に上陸する台風としては観測史上最強クラスの勢力を保持しており,その直撃によって陸上および沿岸部に甚大な被害をもたらした.台風15号による猛烈な海上風は高波をもたらし,実際,東京湾内では1990年からの観測開始以降で最大の有義波高が記録された.この高波により数多くの港湾施設や防波堤が損壊し,その背後地で浸水被害が発生した.沿岸被害の詳細はSuzuki et al (2019)によって報告されている.その中で非常に興味深い現象が2点報告されている.1つ目は顕著な沿岸被害を受けた海域が限定されていたことである.東京湾全域に最大で30m/sに及ぶ強風が吹き荒れていたにもかかわらず,波浪被害は東京湾西岸の横浜港周辺にのみ集中しており,それ以外では目立って確認されていない.2つ目は高波の襲来方向である.Suzuki et al (2019)は倒壊したフェンスや植生の痕跡から横浜港周辺での越波方向を推定しており,それらが北東および南東の範囲で分布していたことを確認している.本研究は,台風15号による沿岸災害はどのような海象条件下でもたらされたのか,またなぜ沿岸災害は横浜港周辺にのみ局在化したのか?これらの問いに対する解を提示することを主目的としている.