日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] 口頭発表

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[O-03] 変化する気候下での強風・豪雨災害にどう取り組むか

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.02 (Zoom会場02)

コンビーナ:松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境学域)、和田 章(東京工業大学)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、和田 章(東京工業大学)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境学域)

10:15 〜 10:30

[O03-06] 将来の強風リスク低減に資するBuild Back Better「保険」制度の提案

★招待講演

*西嶋 一欽1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:住宅、保険、強風

20世紀半ば以降日本の建設技術は格段に進歩したにもかかわらず、台風による強風被害は特に住宅において依然として顕著である。実際、2018年台風21号や2019年台風15号は、それぞれ近畿地方および千葉県南部を中心に甚大な被害をもたらした。これらの台風に対する強風被害調査によれば、築年が古い住宅の被害率が特に高い水準にある。従って、将来の強風リスクを低減するには、既存住宅の耐風性能向上が不可欠である。

2019年15号台風被害に関連して著者らが実施したアンケート調査によると、屋根の一部に被害を受けた被災者のうち屋根全体を補修したのは約16%に留まり、かつ補修の際に耐風性能が向上するような補修を実施したのは約39%であった。このことは、ほとんどの住宅は被災後も被災前同様に低い耐風性能のままであることを示している。

本発表では、このような背景を踏まえ、被災時に耐風性能が向上する補修に対して保険金を支払うBuild Back Better「保険」を提案する。通常の保険の基本的な考え方は、実際の損害に対して相当分の保険金を支払うことであるが、提案するBuild Back Better「保険」では、一部が損傷した建築部位(特に屋根)に対して、当該部位全体を高い耐風性能を有する建材・工法に置き換える費用を支払う。これにより、被災した(=耐風性能が低い)住宅の耐風性能向上が促進されると考える。

本提案の実現には、保険制度上の課題の解決はもとより、発災後に補修需要が高まっている状況でいかに補修のための人員を確保するかという実務的な課題の解決も必要である。また、Build Back Better保険の効果の予測も必要である。本発表では、これらに関する現状の認識と成果を報告する。