11:15 〜 11:30
[O04-09] 「地理教育の道具箱」を活用したSociety5.0時代の地理教育支援
★招待講演
キーワード:地理教育の道具箱、教科横断的な学習、GIGAスクール、STEAM教育
先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety5.0時代を担う子供たちにとって,日常生活はもちろんのこと学びの場においてもICTを活用する技術を身につけることは重要である.ICTを活用する技術を身につけるためには,一人一台の端末と高速インターネット通信を教室にもたらすGIGAスクールの実現及び,実社会での課題解決に生かしていくため科学,技術,工学,リベラルアーツ 、数学などの各教科を横断的に学習するSTEAM教育の充実が重要視されている.さらに,新型コロナウィルス感染拡大防止対策として各地でオンラインを活用した授業への転換も相まってGIGAスクールの実現への注目度が一層高まっている.
しかし,環境面の整備が進む一方で,ICTを活用した授業で活用可能な教育コンテンツが不足していると授業の準備と実施のたびに教員に負担を強いることになり,結果的には子供の学びが不十分になる.このような背景を踏まえて,国土地理院は,教育現場における地理教育支援を目的としてウェブページ「地理教育の道具箱」(https://www.gsi.go.jp/CHIRIKYOUIKU/)を2016年6月に開設した.本報告では,「地理教育の道具箱」について,GIGAスクールやSTEAM教育を視野に入れて整備してきたコンテンツの特長を中心に報告する.
一つ目は,情報発信方法についてである.GIGAスクールの実現を見据え,オンライン環境であればウェブブラウザ上で誰でも容易に利用できるよう工夫した.具体的には、オンライン授業であっても教材化しやすいよう画像やPDFファイルでコンテンツを整備するとともに,ウェブ地図「地理院地図」への接続を容易にすることで授業を展開しやすくした.また,SNSを活用したコンテンツを組み込み,地理教育をより身近に感じやすくした.
二つ目は,学校教育の学習単元別にコンテンツを整理してアクセシビリティを向上した点である.学校教育の学習課程を考慮し,成長過程を4段階((1)小学3・4年生(2)小学5年生(3)中学生(4)高校生)に分け,さらに「身近な地域」,「日本の国土」,「日本の自然災害」等,学習単元別に整理することで教育関係者がコンテンツを検索し、活用しやすいよう工夫した.
三つ目は,教科横断的な視点を取り入れたコンテンツの開発についてである.教科横断的な視点は,STEAM教育を実施するにあたって非常に重要な視点である.そのため,地理を教科として捉えるだけでなくツールとして捉えることで教科横断的な学習を支援できるよう工夫している.例えば,立体図形の切り口という視点と地形断面図という視点を組み合わせて地理をベースに数学も横断的に学習できるようなコンテンツを用意している.また,光の三原色と地形表現を組み合わせて地理をベースに美術も横断的に学習できるようするなど,いわゆる副教科とみなされる分野も含め幅広く学習できるようコンテンツを取りそろえた.
四つ目は,キャラクターによる対話型でストーリーを展開するコンテンツについてである.生徒の興味を引き授業の導入から展開につながるようにした.具体的には,ハザードマップを読み解く上で重要なポイントについてキャラクターが疑問を投げかけたり,災害と地形の関係をマンガで学んだりできるようにした.
これらの特長を備えたコンテンツを集めた「地理教育の道具箱」について,教育関係者28名を対象に教育現場での活用可能性についてアンケートを実施した結果,「活用できそう」と高評価を頂くとともに授業準備時間の短縮の可能性が示唆された.
今後は,様々な機会を通じて「地理教育の道具箱」とそのコンテンツの魅力を情報発信していくことで学校教育の防災地理教育を支援していく.
しかし,環境面の整備が進む一方で,ICTを活用した授業で活用可能な教育コンテンツが不足していると授業の準備と実施のたびに教員に負担を強いることになり,結果的には子供の学びが不十分になる.このような背景を踏まえて,国土地理院は,教育現場における地理教育支援を目的としてウェブページ「地理教育の道具箱」(https://www.gsi.go.jp/CHIRIKYOUIKU/)を2016年6月に開設した.本報告では,「地理教育の道具箱」について,GIGAスクールやSTEAM教育を視野に入れて整備してきたコンテンツの特長を中心に報告する.
一つ目は,情報発信方法についてである.GIGAスクールの実現を見据え,オンライン環境であればウェブブラウザ上で誰でも容易に利用できるよう工夫した.具体的には、オンライン授業であっても教材化しやすいよう画像やPDFファイルでコンテンツを整備するとともに,ウェブ地図「地理院地図」への接続を容易にすることで授業を展開しやすくした.また,SNSを活用したコンテンツを組み込み,地理教育をより身近に感じやすくした.
二つ目は,学校教育の学習単元別にコンテンツを整理してアクセシビリティを向上した点である.学校教育の学習課程を考慮し,成長過程を4段階((1)小学3・4年生(2)小学5年生(3)中学生(4)高校生)に分け,さらに「身近な地域」,「日本の国土」,「日本の自然災害」等,学習単元別に整理することで教育関係者がコンテンツを検索し、活用しやすいよう工夫した.
三つ目は,教科横断的な視点を取り入れたコンテンツの開発についてである.教科横断的な視点は,STEAM教育を実施するにあたって非常に重要な視点である.そのため,地理を教科として捉えるだけでなくツールとして捉えることで教科横断的な学習を支援できるよう工夫している.例えば,立体図形の切り口という視点と地形断面図という視点を組み合わせて地理をベースに数学も横断的に学習できるようなコンテンツを用意している.また,光の三原色と地形表現を組み合わせて地理をベースに美術も横断的に学習できるようするなど,いわゆる副教科とみなされる分野も含め幅広く学習できるようコンテンツを取りそろえた.
四つ目は,キャラクターによる対話型でストーリーを展開するコンテンツについてである.生徒の興味を引き授業の導入から展開につながるようにした.具体的には,ハザードマップを読み解く上で重要なポイントについてキャラクターが疑問を投げかけたり,災害と地形の関係をマンガで学んだりできるようにした.
これらの特長を備えたコンテンツを集めた「地理教育の道具箱」について,教育関係者28名を対象に教育現場での活用可能性についてアンケートを実施した結果,「活用できそう」と高評価を頂くとともに授業準備時間の短縮の可能性が示唆された.
今後は,様々な機会を通じて「地理教育の道具箱」とそのコンテンツの魅力を情報発信していくことで学校教育の防災地理教育を支援していく.