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[O07-P03] 柱状節理の統計的観測とその成因に関する研究
キーワード:柱状節理、伊豆半島
【概要】韮山高校の先行研究から、溶岩の冷却速度と角数分布のばらつきには正の相関があることが分かっている。これは伊豆半島および海外の柱状節理の統計的観測と片栗粉による再現実験から考察した。本研究では円形度という側面から伊豆半島の柱状節理を分析した。また、柱状節理の研究の再現実験として用いられる、片栗粉実験と柱状節理生成実験の再現性について考察した。
1 研究背景
柱状節理とは、マグマが冷却固結する際に、収縮することによって亀裂が生じ、岩体が柱状となったものである。六角形や五角形などの多角形のものが多いが、角数や面積など、その特徴を調べていくと、場所ごとに違いがあることがわかっている。
2 自然柱状節理
<方法>
柱状節理の表面をドローンで撮影し、緯度・経度・高度情報を持った空中写真から、3Dデータを作成後、その平面図であるオルソ画像を作成した。その後、表面を一つひとつ図形化し、そこから角数や面積などのデータを得た。
<考察>
データのある6か所の柱状節理について、場所ごとに円形度の標準偏差、角数分布の尖度を算出し、この2つからグラフを作成した。これらから、柱状節理は冷却が均質であるほど六角形の割合は大きく、円形度のばらつきは小さくなり、冷却が不均質なものは、まず六角形の割合が小さくなり、さらに不均質なものは、円形度のばらつきは大きくなると考えられる。
3 水溶片栗粉乾燥時における柱状節理の再現実験
<目的>
柱状節理の再現実験として片栗粉実験を用い、自然柱状節理の形成モデルを作るため。
<方法>
水溶片栗粉をプラスチック容器に入れ白熱電球を設置して乾燥させ人工的な柱状節理ができる様子を、3分間隔で撮影しタイムラプスを製作する。
<結果・考察>
節理が形成される過程で、亀裂が一部分から連続して生じた。開始地点は白熱電球の位置の相関はいえない。また、容器の外側の節理のほうが内側のよりも大きいことが分かった。自然柱状節理についても同じように、亀裂が一部分から連続して生じ、マグマと岩石の境界線または空気に触れている部分のほうの節理が大きくなるのではないかと考えられる。
4 安山岩を用いた柱状節理の再現の試み
<目的>
柱状節理と片栗粉実験の類似性は認められるが、相関の程度は不明である。そこで、岩石で柱状節理を模倣する実験の可能性について吟味するため。
<方法>
富戸海岸の柱状節理の付近の岩(安山岩)を採取し、砕いて粉末状にし、アルミナるつぼにいれ、電気炉(AS ONE HTR-1010)で加熱、冷却し、柱状節理の生成状況に近づけた。
<結果・考察>
表面には急冷縁ができ、割って内部を見ると、不規則な節理が生じており、柱状節理は見られなかった。柱状節理が形成されなかった原因は、冷却時間が短いことや、るつぼが小さく、自然柱状節理の形成時に比べて実験が小規模であることが考えられる。
参考文献 水口毅 「地形現象のモデリング海底から地球外天体まで」 第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験
Paul Budkewitsch, Pierre-Yves F. Robin(1994). Modelling the evolution of columnar joints. J. Volcanol. Geo. Res. 59(3):219-239
1 研究背景
柱状節理とは、マグマが冷却固結する際に、収縮することによって亀裂が生じ、岩体が柱状となったものである。六角形や五角形などの多角形のものが多いが、角数や面積など、その特徴を調べていくと、場所ごとに違いがあることがわかっている。
2 自然柱状節理
<方法>
柱状節理の表面をドローンで撮影し、緯度・経度・高度情報を持った空中写真から、3Dデータを作成後、その平面図であるオルソ画像を作成した。その後、表面を一つひとつ図形化し、そこから角数や面積などのデータを得た。
<考察>
データのある6か所の柱状節理について、場所ごとに円形度の標準偏差、角数分布の尖度を算出し、この2つからグラフを作成した。これらから、柱状節理は冷却が均質であるほど六角形の割合は大きく、円形度のばらつきは小さくなり、冷却が不均質なものは、まず六角形の割合が小さくなり、さらに不均質なものは、円形度のばらつきは大きくなると考えられる。
3 水溶片栗粉乾燥時における柱状節理の再現実験
<目的>
柱状節理の再現実験として片栗粉実験を用い、自然柱状節理の形成モデルを作るため。
<方法>
水溶片栗粉をプラスチック容器に入れ白熱電球を設置して乾燥させ人工的な柱状節理ができる様子を、3分間隔で撮影しタイムラプスを製作する。
<結果・考察>
節理が形成される過程で、亀裂が一部分から連続して生じた。開始地点は白熱電球の位置の相関はいえない。また、容器の外側の節理のほうが内側のよりも大きいことが分かった。自然柱状節理についても同じように、亀裂が一部分から連続して生じ、マグマと岩石の境界線または空気に触れている部分のほうの節理が大きくなるのではないかと考えられる。
4 安山岩を用いた柱状節理の再現の試み
<目的>
柱状節理と片栗粉実験の類似性は認められるが、相関の程度は不明である。そこで、岩石で柱状節理を模倣する実験の可能性について吟味するため。
<方法>
富戸海岸の柱状節理の付近の岩(安山岩)を採取し、砕いて粉末状にし、アルミナるつぼにいれ、電気炉(AS ONE HTR-1010)で加熱、冷却し、柱状節理の生成状況に近づけた。
<結果・考察>
表面には急冷縁ができ、割って内部を見ると、不規則な節理が生じており、柱状節理は見られなかった。柱状節理が形成されなかった原因は、冷却時間が短いことや、るつぼが小さく、自然柱状節理の形成時に比べて実験が小規模であることが考えられる。
参考文献 水口毅 「地形現象のモデリング海底から地球外天体まで」 第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験
Paul Budkewitsch, Pierre-Yves F. Robin(1994). Modelling the evolution of columnar joints. J. Volcanol. Geo. Res. 59(3):219-239