13:45 〜 15:15
[O07-P04] 伊豆半島の河川及び海岸域のマイクロプラスチック調査
キーワード:伊豆半島、マイクロプラスチック、白浜海岸、狩野川
目的
今日、環境保護が重要な国際的な課題となっている。海に漂流したビニール袋をウミガメが誤飲して死ぬ、というような大きなプラスチックによる生態系への影響は既によく知られている。しかしそれらが分解されたり、最初からその大きさであったりした微細なプラスチック、即ちマイクロプラスチック(以下MP)がどんな影響を及ぼすのか、本当に環境へ多大な影響を及ぼすのか、あるいは、どのように自然の中を循環しているのかといったことについてはまだあまり知られていない。そこで、私たちは、高校生でもできるMPの検出方法の確立と、伊豆半島の周辺の海、川にどの程度の量、大きさ、種類のMPがあるかの調査を目的に本研究を進めた。コロナ禍でサンプリングの行動が制限されるため、下田高校と共同研究を行い2校で伊豆半島のMPの検出方法について研究を行った。
韮山高校マイクロプラスチック調査
実験方法
MPの定義は研究者によって様々だが、私たちは5㎜以下の定義を採用した。実験手順としては、まず、プランクトンネットで採水し、濾過する。濾紙についた試料を質量パーセント濃度10%のKOH水溶液に加える。これを濾過したものに、質量パーセント濃度30%のH2O2水溶液を加える。再度濾過し、質量パーセント濃度44%のNaI水溶液を加えてオーバーフロー法を行い、上澄みを回収する。回収した上澄みを濾過し、顕微鏡で観察する。また、我々はMPの検出精度を高めるため、ナイルレッドとブルーライトを用いた蛍光観察と偏光顕微鏡を使用する方法を試みた。
実験結果と考察
狩野川、我入道、沼津港では小さいMPが多く検出された。比較的小さなMPの割合が、狩野川と比べて我入道の方が多かったが、その原因はMPが河川を流れる間に削られていることだと考えられる。また、狩野川よりも河口である我入道、沼津港でMPの個数が多かったが、その大きな原因として、狩野川の支流には、大場川、来光川、黄瀬川の3つの大きな河川が流入している。これらの河川に含まれているMPが狩野川に流れ込んだと考えられる。
次に、柿田川は、その水源が大量の湧水である。したがって、私たちは中流ではMPは採取されないという仮説を立てた。
しかし、下流、中流のどちらでも狩野川や我入道と比較すると僅かではあるもののMPは検出された。下流でのMPの個数は中流でのものと比べ大きく増加していた。
この原因について考えられるのは、柿田川周辺には明渠水路の他にも暗渠水路によって柿田川に生活排水が流入していることである。また、中流での採水ポイントの上流にある浄水施設で取り切れなかった僅かなMPが検出されてしまったことも考えられる。下流でのMPが中流よりも増加している原因も、生活排水中のMPの流入だと考えた。
MPの検出精度を上げるために行ったナイルレッドによる染色はMPの蛍光が強く見られ、対照実験で用いたヒノキの樹皮とエビの殻では蛍光に変化が見られなかった。また、プラスチックとエビやヒノキでは偏光にも差が見られMPの検出に有効であると考えられる。
下田高校マイクロプラスチック調査
・目的及び実験手法
私たちの研究の目的は、短時間かつ高価な溶液であるヨウ化カリウムを用いないでできる分析法 の確立と伊豆半島のMPの分布を明確にすることである。伊豆半島白浜海岸でのサンプリングを中心に行い、台風の前と後でのMP量の変化も研究した。
・結果
採集場所及びMPの種類
自作の比重計を活用しながら、塩化ナトリウムを主体として比重分離を行い、成分の検出を行った。白浜海岸での砂を採取し、白浜海岸の砂に見られるMPの分析をしたところ、ポリプロピレンが突出して多く見つかり、次にポリスチレンが多く見つかった。2か所の採取場所の違いを比較したが、有意な差は検出されなかった。台風が接近する前と台風が接近した日で採取を行いMP量を測定したところ、仮説検定で有意な差が検出され、14倍の差が見られた。
・考察
天候以外の条件を揃えたいと判断したため、砂は満潮線上から採取した。台風との関連性を比較すると、台風が接近した日は採取できたMPの個数が増加し、台風接近前の日とポリプロピレンの量を比較すると14 倍の差が見られた。強風や台風により、打ち寄せるMPの量に増減が見られると考えられる。MPの色や形から緑と青のプラスチック片の中には比較的大きめの破片が多くあり、その中の一部にはマリンレジャー関係と考えられるものも含まれていた。私たちは、伊豆半島におけるMPのデータが少ないことから、自分たちの研究が伊豆半島の環境保護に繋がると考えた。今回の研究に取り組み、プラスチックの種類を新たな方法で判別することに成功した。今後は、共同研究を行っている韮山高校とのデータ共有、白浜海岸で最も多かったポリプロピレンの削減方法の探索、海水に含まれるMPの割合と砂に含まれるMPの割合の比較を行いたいと考えている。独自の判別法を生み出せたので、さらに多くのデータの分析が可能だと思案している。
今日、環境保護が重要な国際的な課題となっている。海に漂流したビニール袋をウミガメが誤飲して死ぬ、というような大きなプラスチックによる生態系への影響は既によく知られている。しかしそれらが分解されたり、最初からその大きさであったりした微細なプラスチック、即ちマイクロプラスチック(以下MP)がどんな影響を及ぼすのか、本当に環境へ多大な影響を及ぼすのか、あるいは、どのように自然の中を循環しているのかといったことについてはまだあまり知られていない。そこで、私たちは、高校生でもできるMPの検出方法の確立と、伊豆半島の周辺の海、川にどの程度の量、大きさ、種類のMPがあるかの調査を目的に本研究を進めた。コロナ禍でサンプリングの行動が制限されるため、下田高校と共同研究を行い2校で伊豆半島のMPの検出方法について研究を行った。
韮山高校マイクロプラスチック調査
実験方法
MPの定義は研究者によって様々だが、私たちは5㎜以下の定義を採用した。実験手順としては、まず、プランクトンネットで採水し、濾過する。濾紙についた試料を質量パーセント濃度10%のKOH水溶液に加える。これを濾過したものに、質量パーセント濃度30%のH2O2水溶液を加える。再度濾過し、質量パーセント濃度44%のNaI水溶液を加えてオーバーフロー法を行い、上澄みを回収する。回収した上澄みを濾過し、顕微鏡で観察する。また、我々はMPの検出精度を高めるため、ナイルレッドとブルーライトを用いた蛍光観察と偏光顕微鏡を使用する方法を試みた。
実験結果と考察
狩野川、我入道、沼津港では小さいMPが多く検出された。比較的小さなMPの割合が、狩野川と比べて我入道の方が多かったが、その原因はMPが河川を流れる間に削られていることだと考えられる。また、狩野川よりも河口である我入道、沼津港でMPの個数が多かったが、その大きな原因として、狩野川の支流には、大場川、来光川、黄瀬川の3つの大きな河川が流入している。これらの河川に含まれているMPが狩野川に流れ込んだと考えられる。
次に、柿田川は、その水源が大量の湧水である。したがって、私たちは中流ではMPは採取されないという仮説を立てた。
しかし、下流、中流のどちらでも狩野川や我入道と比較すると僅かではあるもののMPは検出された。下流でのMPの個数は中流でのものと比べ大きく増加していた。
この原因について考えられるのは、柿田川周辺には明渠水路の他にも暗渠水路によって柿田川に生活排水が流入していることである。また、中流での採水ポイントの上流にある浄水施設で取り切れなかった僅かなMPが検出されてしまったことも考えられる。下流でのMPが中流よりも増加している原因も、生活排水中のMPの流入だと考えた。
MPの検出精度を上げるために行ったナイルレッドによる染色はMPの蛍光が強く見られ、対照実験で用いたヒノキの樹皮とエビの殻では蛍光に変化が見られなかった。また、プラスチックとエビやヒノキでは偏光にも差が見られMPの検出に有効であると考えられる。
下田高校マイクロプラスチック調査
・目的及び実験手法
私たちの研究の目的は、短時間かつ高価な溶液であるヨウ化カリウムを用いないでできる分析法 の確立と伊豆半島のMPの分布を明確にすることである。伊豆半島白浜海岸でのサンプリングを中心に行い、台風の前と後でのMP量の変化も研究した。
・結果
採集場所及びMPの種類
自作の比重計を活用しながら、塩化ナトリウムを主体として比重分離を行い、成分の検出を行った。白浜海岸での砂を採取し、白浜海岸の砂に見られるMPの分析をしたところ、ポリプロピレンが突出して多く見つかり、次にポリスチレンが多く見つかった。2か所の採取場所の違いを比較したが、有意な差は検出されなかった。台風が接近する前と台風が接近した日で採取を行いMP量を測定したところ、仮説検定で有意な差が検出され、14倍の差が見られた。
・考察
天候以外の条件を揃えたいと判断したため、砂は満潮線上から採取した。台風との関連性を比較すると、台風が接近した日は採取できたMPの個数が増加し、台風接近前の日とポリプロピレンの量を比較すると14 倍の差が見られた。強風や台風により、打ち寄せるMPの量に増減が見られると考えられる。MPの色や形から緑と青のプラスチック片の中には比較的大きめの破片が多くあり、その中の一部にはマリンレジャー関係と考えられるものも含まれていた。私たちは、伊豆半島におけるMPのデータが少ないことから、自分たちの研究が伊豆半島の環境保護に繋がると考えた。今回の研究に取り組み、プラスチックの種類を新たな方法で判別することに成功した。今後は、共同研究を行っている韮山高校とのデータ共有、白浜海岸で最も多かったポリプロピレンの削減方法の探索、海水に含まれるMPの割合と砂に含まれるMPの割合の比較を行いたいと考えている。独自の判別法を生み出せたので、さらに多くのデータの分析が可能だと思案している。