日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] ポスター発表

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[O-07] 高校生ポスター発表

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.27

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O07-P49] スプライトと雷の電荷モーメントの関係性

*中尾 俊介1、*和氣 天1 (1.高知県立高知小津高等学校)

キーワード:高高度発光現象、雷

私たちはスプライトという現象について研究している。スプライトとは高高度発光現象の一種であり、高高度発光現象とは高度50km~100kmにおいて雷に伴って起きる発光現象の総称である。スプライトの発生メカニズムは以下の通りである。正極性落雷が起きることで雲上層部の正の電荷が中和され、電離層から雲上層部へ向かう下向きの電場が生じる。その電場の影響で高度60km付近の電子が上昇し窒素原子に衝突したときに、窒素原子を励起状態にする。この窒素原子が基底状態に戻るときにエネルギーを放出して起こるのがスプライトである。だが、すべての正極性落雷においてスプライトが発生するわけではない。その発生条件を明らかにするためにスプライトと雷の電荷モーメントの関係性について調べた。電荷モーメントとは雷の放電電荷量と高度の積で定義される値であり、スプライトが発生する雷ではこの値が大きいという論文がある。私たちはこのことについて自分たちの保有しているデータでも成り立つかどうかを検証した。

私たちはスプライト発生時の画像と発生場所のデータを保有しており、そのデータと雷の発生時刻と位置情報、ならびに雷に伴って発生した電磁波由来の磁場データを取得することによって、スプライトが発生した雷とそうでない雷で電荷モーメントを分析し、違いがあるかについて比較を行った。

検証の方法として、初めに複数の観測地点から撮影されたデータを用いてスプライトの発生位置を特定し、次にスプライトを発生させた雷である親雷の特定、最後にスプライト発生時の電荷モーメントの大小を比較した。電荷モーメントの値を直接求めることはできないが、雷に伴って発生した電磁波の磁場の強さは電荷モーメントに比例するため、磁場の強さの大小関係を電荷モーメントの大小関係として分析を行った。

スプライト発生位置の分析方法について説明する。私たちは全国32の高校とともに高高度発光現象を観測しており、そうして観測したデータには2点以上の場所からの同時観測に成功したイベントが存在する。起きたスプライトの位置と方角は、ともに映っている星を参照して特定した。

次にスプライトの発生した時刻の雷を見つけ、親雷を同定するため2つのデータの時刻合わせをした。私たちは複数の企業や研究機関から雷の情報を入手し、スプライトと同時に発生した雷から親雷を特定した。

そして、雷に伴って発生した電磁波の磁場の強さデータを中部大学から提供していただき、スプライトが発生した雷と、発生していない雷について、磁場の積分値の比較を行った。