日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-07] 高校生ポスター発表

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.27

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O07-P56] 可変傾斜型海中堤防の開発

*大村 慧1、南里 翔平1 (1.市川学園市川高等学校)

キーワード:津波、海中防波堤

本研究は、既存のものより津波に対するエネルギー減少効果の高い海中堤防を開発することを目的とした、可変傾斜型海中堤防の研究である。研究は小型のモデルを活用した実験室での実証実験と、コンピューターによるシミュレーションを併用して行った。実証実験においては超音波センサーを用いて波形を採取し、海中堤防が何もなかった場合、通常の固定された海中堤防を設置した場合と比較して可変傾斜型海中堤防の効果を検証した。また、実証実験ではプラスチック球形弾をトレーサーとして活用することで、水分子の波による移動距離を推定し、波が持っているエネルギー量の変化も合わせて比較した。シミュレーションでは二次元物理演算ソフト、Algodooを使用し、実証実験の環境を再現することで個別要素法を用いて実証実験の正確性の検証を行った。実験の結果、可変傾斜型海中防波堤を通過した波は広範囲にエネルギーが分散される傾向が見受けられた。また、波が持つ総エネルギー量が最も減少したのは、従来の固定された海中防波堤を設置した時であった。これらのことから、可変傾斜型海中防波堤は防波堤にかかる負荷を従来の堤防に比べて減らしつつ広範囲に波のエネルギーを分散させることで一定時間に地上に押し寄せるエネルギー量を減らし、地上の防波堤の崩壊等を防ぐことができると考えている。最終的には、可変傾斜型だけでなく、防波堤の形状自体が変化する湾曲型防波堤などに繋げていきたい。