日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] ポスター発表

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[O-07] 高校生ポスター発表

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.27

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O07-P59] 河川が氾濫する気象的、地理的条件~宮田川の過去と現在の比較から~

*𠮷田 衣里1、*及川 みなみ1、*柴田 采実1、*寺﨑 千尋1、*矢部 くるみ1 (1.茨城県立日立第一高等学校)

近年、日本全国で大規模な豪雨災害が多発している。2019年の東日本台風時、茨城県内の那賀川や久慈川は氾濫したが、本校付近を流れる宮田川は氾濫しなかった。「宮田川は水害に強い川なのか?」と調べたところ、1946年の関東地方接近時には氾濫している。

 そこで、河川が氾濫する原因を地学的に考察し、水害が発生する条件を類型化して、災害の事前把握から減災に活用したいと考えた。

 研究するにあたって、地理的要因の一つである河川の傾斜と単位時間あたりの降水量に相関関係があるのではないかという仮説を立てた。

 仮説を実証するために、まず、文献調査を行い、2010年7月から2020年7月まで10年間に日本全国で発生した水害について調べた。その際、宮田川のカスリーン台風時の水害について調査する班と宮田川を除く全国の水害について調査する班の2班に分かれて調査を行った。また、調査には主にインターネットを使用し、新聞や気象庁のホームページなどを参考にした。調べた項目は、源流の標高と河川の長さ、1時間当たりの最大降水量の3つである。そこから源流の標高と河川の長さをもとに算出した平均傾斜と、単位時間当たりの最大降水量との間に、類型化に使用可能な相関関係があるかを調べるためのグラフを作成した。グラフ作成に使用できた河川のデータは、宮田川を含めた43件である。

 結果は、平均傾斜と単位時間(1時間と24時間)当たりの最大降水量のグラフから、宮田川及び久慈川(茨城県)と鏡川(高知県)のデータからは、仮説通りの相関関係がみられた。しかし、その他の河川のデータからは相関関係が見られなかった。。

 以上の結果から、平均値化した値では、水害の起こる条件を類型化することができないと考えた。。

 今後の展望は、平均化した値から、水害の起こる条件を類型化できなかったことから、河川全体の傾斜だけでなく、氾濫した狭い区間での傾斜や川幅などについても調査し、水害を起こした河川の詳細な地形を把握したい。また、宮田川と那珂川の氾濫した場所の傾斜や川幅の測量、堆積物などの現地調査を行いたい。(現地調査については、2021年4月現在、宮田川の調査を計画中である。)以上の2点を、2021年度の研究目標としている。

 最後に、主な参考文献を以下の通りである。

・本田尚正・川松由季「カスリーン台風による日立市宮田川の氾濫の検証」

『水工学論文集』第54巻2010年2月

・本田尚正・川松由季「1946年9月カスリーン台風による日立市宮田川土石流の再現計算」『関東森林研究』No,61(2010年)

・気象庁 過去の気象データ検索 

https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

・東京大学空間情報科学研究センター

  www.csis.u-tokyo.ac.jp/