日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] ポスター発表

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[O-07] 高校生ポスター発表

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.27

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O07-P60] ソーラーパネルの普及に伴う土地利用の変化
〜千葉県柏市の現状〜

*水上 綜理1 (1.渋谷教育学園渋谷高等学校)

キーワード:土地利用、農地、ソーラーパネル

2013年に農林水産省が制定した、再利用が不可能である耕作放棄地に再生可能エネルギー発電の設置を促す法案を境にソーラーパネルが農地に普及しているのではないかと考えた。そこで、JAXAが公開している、高画像度土地利用土地被覆図を使用し、具体的にどのような地域にソーラーパネルが普及しているのか、そしてその普及はいつ頃から進んでいるかどうかを調査した。土地被覆図の精度は84.8%であるため、Google Earthでも照らし合わせ、両方のデータで確認ができたものを今回の対象とした。土地被覆図には細かいものから、広い面積で表示されるものがあったため、連続して表示されているものを対象とした。細かく表示されているものに関しては、今回は対象外とした。

今回の対象地域を、営農型太陽光発電設備を設置するための農地転用許可実績の多い都道府県1位が千葉県であったことから、千葉県とした。中でも近年都市開発が進み、住宅、工場、農地など、多様な土地利用が見られる柏市を対象とした。柏市では、土地被覆図でソーラーパネルが広くみられた地域はX箇所あった。そこで、Google Earthと照合した結果、目視でソーラーパネルを確認できた場所はY箇所であった。土地被覆図での誤差は、屋上が網目状になった工場がソーラーパネルと認識されていることも確認できた。

そのY箇所を表にまとめると、工場の屋上に設置されているものがA箇所、農地の上に設置されているものがB箇所あることが明らかになった。そこで、Google Earthのタイムマシン機能を使用し、いつ頃から設置されているのかどうかを検証した。タイムマシン機能では、衛星画像をさかのぼっていくため、雲の影や、雲自体がかかっていると確認できない場合があった。その中でも確実に設置年がわかるものをまとめると、K箇所が2012年から2013年に設置されていることが分かった。既述した通り、再利用が不可能である耕作放棄地に再生可能エネルギー発電の設置を促す法案制定以降に、農地では設置数が増加していることが分かった。また、2012年には固定価格買取制度(FIT法)が制定され、メガソーラーなどの拡大があり、ソーラーパネルを運営する個人単位の企業が増えた。今回検証した工場の屋上では2012年から増加しているため、関係があるとみられる。

まとめると、千葉県柏市においてのソーラーパネルの普及は2012年のFIT法と2013年の再利用が不可能である耕作放棄地に再生可能エネルギー発電の設置を促す法案が制定されたことで、工場の事業者は屋上で、耕作放棄地や農地の所有者はその所有地で、ソーラーパネルを設置したと考えられる。

ソーラーパネルの寿命は十数年といわれており、近年老朽化が問題となってきている。2012年頃から一気に拡大したことで、今後1〜2年で老朽化の問題がもっと深刻になると考えられる。今回の研究内容をもとに、設置年数の確認や、今後の老朽化等の問題にも応用ができると考えられる。