13:45 〜 15:15
[O07-P63] ビタミンB2を用いた水流の可視化について
キーワード:海
深層海流は主に北大西洋のグリーンランド沖及び南極のウェッデル海といった極地で沈降し、数千年かけて地球を一周した後、太平洋やインド洋沖で湧昇する。その特徴ゆえ、この海流は極地と低緯度及び中緯度地域間の長期的な熱輸送の一翼を担っており、地球の気候に大きな影響を与えている。しかし、その一方でいまだ解明されていないことも数多く存在する。湧昇の仕組みがその最たる例だ。深層海流が極地で沈降するのは、水温の低さや塩分濃度の濃さによるものだが、太平洋やインド洋沖で湧昇してくるメカニズムはいまだ解明されておらず、今も研究が続けられている。
地球温暖化の影響が顕著に現れ始めている今、その対策を講じることは不可欠である。その一方で、地球が元々持つ気候調節機能についての理解を深めることも、地球温暖化を遅らせ、人類を含む全ての生物が暮らしやすい環境の実現には肝要である。
そのため、これまで我々は深層海流の湧昇メカニズムを解明するため、湧昇には海底地形が関係しているという仮定のもとに水槽に海底地形を再現した実験を行い、深層海流の湧昇に関与している要因を探ってきた。具体的には、水槽の左端に氷を設置することで低水温の極海域を再現し、石膏で作製した疑似海山を底に設置することで、海嶺やインド洋沖のホットスポットといった海底地形を再現した。さらに、青インクを溶かした水溶液を左端に垂らすことで水流を可視化し、水流が海山に衝突することで発生する乱流及び湧昇する水の視認を試みた。また、水流の可視化と同時に、氷を設置していない右端で高速応答温度プローグ(島津理化)を一つずつ、高さを変えて設置することで、0.01秒毎に0.1℃単位での水温測定を行い、視認できない細かな水の動きの定量化を試みてきた。
ところが、インクでの可視化は水溶液の均一性によりインクが水槽内に広がって薄くなり、視認し辛くなる点やそもそも視認し辛い点など様々な問題がある。そこで、我々はビタミンB2の蛍光作用に着目し、インクの代わりに錠剤を砕いたビタミンB2の粉末を用いれば、こうした欠点を改善できるのではないかと考え、ビタミンB2を用いた乱流の可視化を試みた。また、粉末自体に工夫することで、ビタミンB2が持つ利点を維持したまま、粉末を消耗することなく半永久的に使用できるような方法を模索した。
この研究によって見出した新たな可視化方法は、今後、深層海流について更なる考察を行っていく上で非常に有効となり得るものであり、これまで以上に乱流を視認しやすくし、より正確な観測が可能になるだろう。また、今回発表する方法は流れの可視化に関する様々な方面への応用が可能であると考えられ、もし今後ビタミンB2による可視化が普及することがあれば、これほど喜ばしいことはない。今学会では、以上に述べたようなビタミンB2を用いた乱流の可視化と、ビタミンB2粉末が持つ可能性について取りまとめて報告する。
地球温暖化の影響が顕著に現れ始めている今、その対策を講じることは不可欠である。その一方で、地球が元々持つ気候調節機能についての理解を深めることも、地球温暖化を遅らせ、人類を含む全ての生物が暮らしやすい環境の実現には肝要である。
そのため、これまで我々は深層海流の湧昇メカニズムを解明するため、湧昇には海底地形が関係しているという仮定のもとに水槽に海底地形を再現した実験を行い、深層海流の湧昇に関与している要因を探ってきた。具体的には、水槽の左端に氷を設置することで低水温の極海域を再現し、石膏で作製した疑似海山を底に設置することで、海嶺やインド洋沖のホットスポットといった海底地形を再現した。さらに、青インクを溶かした水溶液を左端に垂らすことで水流を可視化し、水流が海山に衝突することで発生する乱流及び湧昇する水の視認を試みた。また、水流の可視化と同時に、氷を設置していない右端で高速応答温度プローグ(島津理化)を一つずつ、高さを変えて設置することで、0.01秒毎に0.1℃単位での水温測定を行い、視認できない細かな水の動きの定量化を試みてきた。
ところが、インクでの可視化は水溶液の均一性によりインクが水槽内に広がって薄くなり、視認し辛くなる点やそもそも視認し辛い点など様々な問題がある。そこで、我々はビタミンB2の蛍光作用に着目し、インクの代わりに錠剤を砕いたビタミンB2の粉末を用いれば、こうした欠点を改善できるのではないかと考え、ビタミンB2を用いた乱流の可視化を試みた。また、粉末自体に工夫することで、ビタミンB2が持つ利点を維持したまま、粉末を消耗することなく半永久的に使用できるような方法を模索した。
この研究によって見出した新たな可視化方法は、今後、深層海流について更なる考察を行っていく上で非常に有効となり得るものであり、これまで以上に乱流を視認しやすくし、より正確な観測が可能になるだろう。また、今回発表する方法は流れの可視化に関する様々な方面への応用が可能であると考えられ、もし今後ビタミンB2による可視化が普及することがあれば、これほど喜ばしいことはない。今学会では、以上に述べたようなビタミンB2を用いた乱流の可視化と、ビタミンB2粉末が持つ可能性について取りまとめて報告する。