日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-07] 高校生ポスター発表

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.27

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O07-P65] 酒匂川における礫の分布とそれに影響を与える要因

*上町 望実1、*山宮 美咲1、齋藤 洋輔1 (1.東京学芸大学附属高等学校)

キーワード:酒匂川、河床礫、選択的運搬作用、破砕・摩耗、砂州、アーマーコート化

酒匂川の中・下流における礫分布について研究した。

 本研究では、9つの地点で2種のサンプルを取った。1つ目は、河道と平行に設置した1m×1mの枠内表面から大きい順に採取した200個の礫について、三径、質量、円磨度、岩種を調べたものである。2つ目は枠から半径10m以内にある最大礫について、三径、円磨度、岩種を調べたものである。

 調査は3段階に分けて行った。1段階目では、付図の地点1・6・9で調査を行い、中・下流域における礫分布の概要を調べた。1段階目の調査では、地点1・6間で一部の礫種の重量割合が急減することがわかった。その原因は扇状地、谷底平野といった地形的特性であるという仮説を立て、2段階目では谷底平野と扇端をそれぞれ挟むように付図の地点3・4・5で調査を行った。2段階目では、地点3では堰の影響でアーマーコート化が起きていること、下流部の砂州の上部では淘汰が悪く、中部や下部では淘汰が良くなることを予想した。3段階目では、これらの仮説を確かめるため、地点3の堰の上流である付図の地点2と、地点6と同一の砂州の中・下部である地点7・8で調査を行った。

 調査の1・2段階目を総合した結論として、上述したアーマーコート化、砂州の粒度分布の特徴に加えて以下の4つのことがわかった。第一に、河川勾配や堆積地形が変化する2区間では選択的運搬作用により、粒径の大きな礫が堆積していたと考えられる。地点3・4間では、トーナル岩、緑色片岩の平均粒径や重量割合が急減していた。これらの岩種は地点3での平均粒径が大きかったため、選択的運搬作用を受けて堆積したとみられる。地点4・5間でも同じ原理で安山岩、玄武岩、細粒凝灰岩が堆積したとみられる。第二に、砂岩・礫岩が地点6以降ではほとんど見られなかったことから、砕屑岩は摩耗・破砕作用を受けやすいと考えられる。第三に、支流合流後の地点で、支流から供給されうる礫種がほとんど増加していなかったことから、中・下流域における支流は本流の礫分布に影響を与えていないことがわかった。最後に、地点4で安山岩と玄武岩の重量割合と最大礫の粒径が増加していた。この地点の付近にある関本丘陵や浅間山から供給を受けている可能性について検討中である。なお、3段階目の調査結果は、現在分析中である。当日はこの結果も含めた発表を行いたい。