[O-07] 高校生ポスター発表

[O07-P74] 電波望遠鏡を使用した月の電波観測

*山下 航矢¹、*堤 一華¹、*平沼 篤¹、*松好 郁美¹ (1.奈良県立青翔高等学校)

キーワード：電波望遠鏡、月齢、表面温度

要旨
　我々はＢＳアンテナを用いた簡易電波望遠鏡により、月齢によって月の電波強度がどの様に変化するかを調べた。満月、半月、三日月のそれぞれの日に電波観測を行い、それらの電波強度から月の表面温度を推定した。結果、月の電波強度は月齢との間には顕著な関係が読み取れず、むしろ月の高度や雲量の影響を受けやすいことが分かった。

１．はじめに
　我々がこの研究を始めようとしたきっかけは、簡易電波望遠鏡で太陽や銀河系の電波を観測した先行研究は見られるが、月の電波を観測した論文が見当たらなかったため、この研究を行うことに決めた。

２．目的
　我々の研究の目的は、ＢＳアンテナを用いた簡易電波望遠鏡により、月齢による月の電波強度の変化を調べることである。また、電波強度から月の表面温度を推定することである。

3.方法
①　アンテナ・ブースター・検波器・テスターを接続し、テスターの電圧を「V」に合わせた。
②　アンテナを空へ向けたとき、電圧の値が0.20V程度になるように検波器のゲインで調節を行い、安定したときの値を5秒おきに10回読み取り、その平均値（V_sky）を求めた。
③　アンテナを月に向け、テスターの示す値を5秒おきに10回読み取り、その平均値（V_moon）を求めた。
④　アンテナを段ボール（電波吸収体）で覆い、テスターの示す値を5秒おきに10回読み取り、その平均値（V_a）を求めた。
⑤　測定時の気温（T_a）を測り、以下の公式を用いて月の見かけの温度（T_moon）を求めた。
　　　T_moon＝(V_moon-V_sky)(T_a+273)/(V_a-V_sky)

４．結果
　結果は下記の表のようになった。

５．考察
　表の(V_moon-V_sky)/(V_a-V_sky) より、月の電波量は月齢の大きさに顕著な関係が読み取れなかった。このようになった理由としては、日によって月の高度が異なっていたから、12/28と1/25は一部に雲がかかっていた為だと考えている。このことから、月齢よりも月の高度や雲量に左右されるのではないかと考えた。

謝辞
　今回の研究を行うにあたり、兵庫県立大学西はりま天文台の高山正輝様、兵庫県佐用町の時政典孝様には観測機材のご提供を頂きました。ありがとうございました。

参考文献　
1）「高校生天体観測ネットワーク」　http://www.astro-hs.net/h
2）「月齢カレンダー」　http://koyomi.vis.ne.jp/moonage.htm