17:15 〜 18:30
[PEM09-P01] IGRFモデルを用いた3次元全球電離圏静電ポテンシャルソルバーの開発
キーワード:ポテンシャルソルバー、電離圏シミュレーション、磁気圏-電離圏-大気圏結合
磁気圏-電離圏-大気圏結合の諸問題に挑むため、magnetic apex coordinates [VanZandt et al., 1972; Richmond, 1995]を採用することにより、背景磁場構造として国際標準地球磁場(IGRF)モデル[e.g., Alken et al., 2020]を実装した電離圏全球静電ポテンシャルソルバーを開発した。このソルバーは、磁力線の等電位性を仮定することにより、静電ポテンシャルを2次元楕円型偏微分方程式で解いた後、電場や電流密度の3次元分布を復元することを可能とするものである。ソルバーのインプットパラメーターは、電気伝導度や磁気圏由来のRegion-1 FACとRegion-2 FACに加えて、大気圏との結合を考慮した中性大気の風である。現段階では、電気伝導度は、NRLMSISE-00 [Picone et al., 2002]とIRI-2016 [Bilitza et al., 2017]から求めた粒子の数密度や温度、Ieda [2020]の衝突周波数と計算式により求めている。
従来のポテンシャルソルバーでは、背景の地球磁場を一様なもの、あるいは磁気双極子であるとした近似の下に計算がなされているものがほとんどである。また、想定する現象の空間スケールに比べて電離圏は無限に薄い層とみなすことができるとした、薄層近似による2次元モデルが採用され、今なおその近似でのソルバーが多用されている。このような近似を用いたモデルは、高緯度で磁気圏電離圏結合過程を考える場合には比較的現実に即した解を与えうるが、背景磁場が双極子近似から大きくずれ、かつ電離圏に磁力線が斜めに浸潤することにより、電離圏-大気圏結合系が本質的に3次元となる中低緯度領域では、非現実的なものとなる。
今回開発したソルバーは、上記の仮定や近似を取り除いたより現実的なものとなっており、磁気圏-電離圏-大気圏結合ソルバーとしてMHDシミュレーターや大気ダイナミクスシミュレーターと非常に親和性が高いものとなっている。本学会では、この開発過程の詳細について解説し、得られた初期結果について報告する。
従来のポテンシャルソルバーでは、背景の地球磁場を一様なもの、あるいは磁気双極子であるとした近似の下に計算がなされているものがほとんどである。また、想定する現象の空間スケールに比べて電離圏は無限に薄い層とみなすことができるとした、薄層近似による2次元モデルが採用され、今なおその近似でのソルバーが多用されている。このような近似を用いたモデルは、高緯度で磁気圏電離圏結合過程を考える場合には比較的現実に即した解を与えうるが、背景磁場が双極子近似から大きくずれ、かつ電離圏に磁力線が斜めに浸潤することにより、電離圏-大気圏結合系が本質的に3次元となる中低緯度領域では、非現実的なものとなる。
今回開発したソルバーは、上記の仮定や近似を取り除いたより現実的なものとなっており、磁気圏-電離圏-大気圏結合ソルバーとしてMHDシミュレーターや大気ダイナミクスシミュレーターと非常に親和性が高いものとなっている。本学会では、この開発過程の詳細について解説し、得られた初期結果について報告する。