日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] Dynamics of the Inner Magnetospheric System

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.04

コンビーナ:桂華 邦裕(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、三好 由純(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、W Lauren Blum(University of Colorado Boulder)、Yuri Shprits(Helmholtz Centre Potsdam GFZ German Research Centre for Geosciences)

17:15 〜 18:30

[PEM12-P14] 高感度全天カメラとVan Allen Probes衛星によるサブオーロラ帯孤立プロトンオーロラの複数例同時観測の初期解析結果

*中村 幸暉1、塩川 和夫1、能勢 正仁1、長妻 努2、坂口 歌織2、Spence Harlan3、Reeves Geoff4、Funsten Herbert4、Kletzing Craig5、MacDowall Robert6、Smith Charles3、Wygant John7、Bonnell John7 (1.名古屋大学 宇宙地球環境研究所、2.National Institute of Information and Communications Technology、3.New Hampshire Univ.、4.Los Alamos National Laboratory、5.Iowa Univ.、6.Goddard Space Flight Center、7.Minnesota Univ.)

キーワード:孤立プロトンオーロラ、電磁イオンサイクロトロン波

サブオーロラ帯に現れる孤立プロトンオーロラは、Pc1地磁気脈動と同期して出現し、東西方向に薄く伸びたスポット状の構造を持つ。プロトンオーロラは、磁気圏から高エネルギープロトンが降りこみ、電離圏での大気中の粒子との電荷交換衝突を経て発生する。先行研究から、孤立プロトンオーロラは磁気圏電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波が高エネルギープロトンをロスコーン内にピッチ角散乱させ、電離圏に降りこませることで発生すると示唆されてきた。EMIC波は波動粒子相互作用によって放射線帯粒子を大気中へ急速に損失させると考えられている。これらのことから、磁気圏EMIC波と、波動粒子相互作用領域の電離圏投影である孤立プロトンオーロラの同時観測は、波動粒子相互作用の仕組みを理解する上で重要となる。孤立プロトンオーロラとその磁気圏発生源領域の同時観測はNishimura et al. [JGR, 2014; doi: 10.1002/2014JA020029]及びNakamura et al. [submitted to JGR, 2021]を除き、ほとんど行われていない。そこで本研究では、カナダのKapuskasingに設置された全天カメラとVan Allen Probes衛星を用いて、地上Pc1/EMIC波に伴って発生した孤立プロトンオーロラとその磁気圏発生源領域のプラズマ・電磁場変動の同時観測イベントを3例見出すことに成功した。それらの時刻は、2018年3月22日~08:40 UT、2018年4月22日~06:40 UT、2018年9月7日~04:00 UTである。これらの例では、Van Allen Probes衛星のフットプリントが孤立プロトンオーロラの発生領域を通過した時間に、衛星で孤立したEMIC波動が観測されていた。いずれの例も磁気静穏時であった。観測された磁気圏EMIC波動の低緯度側境界はリングカレントを担う~10 keVのイオンのフラックス増大に対応しており、イオンフラックスは磁力線垂直方向に卓越していた。一方、EMIC波動の高緯度側境界は、電子密度が急激に減少し始める領域に対応していた。これらの特徴はすべてのイベントで共通して見られた。講演では、孤立プロトンオーロラの先行研究とこれらの観測事実を照らし合わせて、孤立プロトンオーロラとその源である磁気圏EMIC波動の局在化の原因を議論する。