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[PEM15-01] Observation of non-gyrotropy of electrons caused by wave-particle interaction with intense whistler mode waves in mirror mode structures in the magnetosheath
キーワード:ホイッスラーモード波動、波動粒子相互作用、MMS衛星
地球磁気圏の外側にあるシース領域では、しばしばミラー不安定によって周囲より磁場強度が弱い磁気ミラー構造が生じる。そして、そのような磁気ミラー構造の多くでは、内部磁気圏の磁気赤道と似たように、磁場の極小付近から磁力線平行と反平行方向にホイッスラーモード波動が放射されており、Lion roarとも呼ばれている。本研究ではこのホイッスラーモード波動の源と考えられる領域付近で、波動粒子相互作用による電子のジャイロ非等方性の発生についての解析結果を報告する。MMS衛星の観測データのうち、ホイッスラーモード波動の観測にはSearch-coil magnetometerとElectric field double probe によって8192 Hzサンプリングで取得された電磁場のburst modeの観測データを用い、背景磁場としてはFluxgate magnetometersの16 HzサンプリングのFast survey modeのデータを用いた。電子の観測データはFast plasma investigation Dual electron spectrometerのデータを用いた。通常、電子のバーストデータの時間分解能は30 msであるが、この時間分解能では100 Hz程度(=周期約10 ms)のホイッスラーモード波動に伴う電子の変動を分解することはできない。この30 msの間に6 eVから30 keVの32のエネルギーステップを2往復掃引しているので、各エネルギーステップの計測の積分時間196 μsまで分解し、エネルギー、ピッチ角ごとにジャイロ非等方性の有無、波動電磁場との位相関係を調べた。その結果、一部のエネルギーにおいて波動の伝搬方向と逆向きに運動する電子のうち、サイクロトロン共鳴条件を満たすピッチ角よりかなり90°に近いピッチ角において非共鳴の相互作用によると考えられるジャイロ非等方が現れることを発見した。ホイッスラーモード波動の振幅が背景磁場の数%にも達するため、サイクロトロン共鳴速度から大きく離れた電子も波の1周期分とすれ違う間に位相空間内で無視できない程度に主にピッチ角方向に振動する。電子はミラー構造の成長によって生じたと考えられるバタフライ分布になっており、バタフライ分布のピークより90°に近いピッチ角では電子が振動するdiffusion curveに沿った位相空間密度の勾配が大きくなっているため、非共鳴の相互作用によるジャイロ非等方が観測可能になったと考えられる。つまり本観測は大振幅波動による非共鳴相互作用の直接証拠と解釈できる。