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[PPS06-02] 巨大衝突で形成される惑星系の中心星質量依存性:最小質量系外円盤モデルとハビタブル惑星
キーワード:惑星系形成、地球型惑星、巨⼤衝突、中⼼星質量
地球型惑星形成の最終段階とされる巨⼤衝突過程では、原始惑星が軌道交差および衝突合体を繰り返すことで個数を減らし、より安定な系へと進化していくと考えられている。現在までに発⾒されている多重惑星系は、太陽系の地球型惑星に⽐べて中⼼星の近くにコンパクトにまとまっているものが多く、既存の標準的な理論モデルでは説明できない。系の構造を決める要素として、円盤の質量や密度分布、原始惑星の分布などが議論されてきたが、中⼼星の質量については太陽質量に固定する場合がほとんどであり、影響の有無について明確な⽰唆はない。近年、中⼼星の質量を変えた理論計算も⾏われているが(e.g., Raymond et al. 2007, Ciesla et al. 2015, Matsumoto et al. 2020)、中⼼星質量の違いが系の構造にもたらす影響に着⽬した研究は今まで⾏なわれていない。また、太陽の0.1-0.6 倍の質量を持つM型星は、銀河系の恒星のうち約75 %を占める最も多く存在する恒星であり、観測技術が向上したことや、ハビタブルゾーンが中⼼星に近いことから、惑星探査計画が進められている。これらの観測と⽐較可能な理論計算を⽰すことは⾮常に重要である。そこで本研究では、巨⼤衝突過程において中⼼星の質量を変化させた場合のN 体シミュレーションを⾏い、軌道構造の中⼼星質量依存性を調べた。系外惑星の観測結果から見積もられた原始惑星系円盤の面密度モデルを参考に、中心星質量に比例する円盤モデルを新たに導入し、初期の原始惑星の孤立質量に反映した。原始惑星は、中⼼星から0.05 - 0.15 AU の領域およびそれぞれのハビタブルゾーンに分布させた場合の2パターンを考え、2 億ケプラー周期の時間進化を追った。その結果、中⼼星の質量が⼩さいほど、軌道離⼼率や軌道傾斜⾓は⼤きくなり、軌道間隔は広がることがわかった。また、中⼼星の質量に由来する円盤構造が大きく影響すると考えられる最終的な惑星の質量や、ハビタブルゾーン内の惑星数などについても議論する。